夏になると「うなぎが食べたい!」と思うのは日本人特有の思いでしょうか。

日本では昔から暑い時期にうなぎを食べる風習があるため、土用の丑の日にもなると多くの人がうなぎを買い求める光景が夏の風物詩となっています。

ところが、本来うなぎの旬は初冬であって、真夏の丑の日にスーパーや魚屋で並べられるうなぎのほとんどは養殖か外国産だと言われています。

食の安全を求める意味でも国産うなぎにこだわる人が多い中、今日は国産の天然うなぎと養殖うなぎについてその違いをまとめてみました。

天然うなぎと養殖うなぎ、その違いとは

天然うなぎ

国産の天然うなぎは、毎年5月から獲れ始めるものの、旬は秋から初冬であると言われています。
特に、水温が下がり始める10月頃に獲れるうなぎは、冬眠に備えて栄養を蓄えていることから、その味には大変定評があります。

現在、日本ではニホンウナギとオオウナギの2種類が生息していますが、放流に乗ってやってきたヨーロッパウナギも確認されています。

通常市場に出回るうなぎはニホンウナギとなっていますが、お店によってはヨーロッパウナギも販売されていることもあるようです。

ニホンウナギに比べて、外国うなぎは太く短い外見であり、味は大味で脂が乗っているのが特徴的です。

天然ニホンウナギの味はと言うと、川魚特有の爽やかな香りが特徴であり、その身は淡白で脂臭さが無いにも関わらず、深く強い味わいが楽しめます。

また、育ってきた環境やエサに影響されるのか、一匹ごとに味わいが異なる点も天然うなぎの興味深いところでもあります。

しかし、残念ながら乱獲の影響もあり、天然ニホンウナギの捕獲量は年々減少の一途をたどり、2014年には国際自然保護連合により絶滅危惧種に指定されました。

そうした背景もあり、現在日本の市場に出回るうなぎの9割以上は養殖うなぎであり、残りの1割弱である天然うなぎは料亭やうなぎ専門店などの特別ルートに乗るため、一般的なスーパーで販売されることはほとんどありません。

養殖うなぎ

うなぎの生態には謎が多く、いまだに完全な解明がされていない魚です。

数年前に、受精卵から育てる「完全養殖」に成功はしているものの、これが市場に出回るようになるにはまだまだ時間がかかると言われています。

そういった背景もあり、現在日本で行われている養殖うなぎとは、天然うなぎの稚魚であるシラスうなぎを獲るところから始まります。

シラスを獲る方法はと言うと、冬の夜に海や河口で光に寄ってくるシラスを1匹ずつすくうと言った昔ながらの大変な作業であり、シラスの数が減った現在では一晩頑張っても数匹しか獲れないこともあるようです。

一昔前までは一晩で2000から3000匹獲れることがあったと言いますから、その数は歴然ですね。

ありとあらゆる場所で捕獲されてきたシラスは、10キロから100キロのロットになって養殖池へと運ばれます。

養殖池は、ビニールハウス内にあるコンクリートで作られており、その中の水は水産用水基準を満たした地下水で水温は常に28度前後に保たれています。

この養殖池で、0.2gだったシラスは、半年から1年半かけて200gから300gのうなぎに成長していきます。

餌は厳選された高品質な魚粉が主原料となった配合飼料が使われており、これらは水を加えて餅状にされてた後に与えられます。

また、池の中のうなぎが病気になった場合は薬を投与することがありますが、その時用いられる薬も薬事法によって承認されたものしか使うことが許されず、使用後の休薬期間についても厳しく規制が設けられています。

このように、うなぎを養殖することは大変な手間とコストがかかることが、うなぎの価格が高いと言われる理由でもあるのです。

養殖うなぎにおける産地の定義とは

養殖うなぎの産地の定義には独特のルールがあることをご存じでしょうか。

前述の通り、シラスは国内だけでなく海外からも集められ、出荷されるまでの間は一カ所の養殖池で飼育されています。

うなぎの産地は「長い間いた場所」が定義となるため、この養殖池の住所がうなぎの産地となるのです。

よって「○○産」と書いてあるうなぎは、シラスが捕獲された海や河口のある場所ではなく、シラスが飼育された場所を指しているのです。

それは、中国で獲られたシラスでも日本での飼育期間が長ければ「国産うなぎ」として表示が可能になるという仕組みなのです。

代表的な国産うなぎの産地

静岡産

うなぎの産地として一番に名前が上がることの多い静岡は、明治時代から養鰻を行っており、当時は日本一の生産量を誇っていました。

今でこそ生産量は減少していますが、シラスの捕獲から飼育を一貫して行うなどの養鰻技術を確立した場所であり、浜名湖のうなぎは全国でも特に有名です。

静岡県内では浜名湖周辺や天竜川でシラスウナギを捕獲することができ、養殖池の水は地下からくみ上げた南アルプスの雪解け水を使用しているため、うなぎ自体にも泥臭さがありません。

愛知産

三河湾に面した穏やかな気候が特徴の一色町のうなぎは、今や日本の生産量の1/4を出荷するなど、市町村単位では昭和58年から全国一位を誇っています。

一色町のうなぎは、天然うなぎのような身のしまった肉質が味わえると評判ですが、これには一色町の全ての養殖池が矢作川水系の清流水を使っていることが大きな理由となっているようです。

川の水を使うことによって、より天然に近い環境で飼育されるため、うなぎにかかるストレスが少なくスムーズな成長が促されているのです。

静岡産同様、一色産のうなぎも一貫飼育されているため、安全性が高く信頼できるブランドうなぎです。

宮崎県産

マンゴーや日向夏の産地でも有名な宮崎県は、年間を通して温暖な気候であるため、うなぎを飼育する際にも大変適した環境であると言えます。

他の産地の養殖池の水が硬水を使用しているのに対して、宮崎産では軟水を使用しているため、うなぎの骨や皮は柔らかくなり口当たりの良い食感が期待できます。

そのとろけるような柔らかさを味わうには、タレを付けずに焼いた白焼きがおすすめだと言われています。

鹿児島県産

鹿児島産のうなぎは、鹿児島特有の温暖な気候と豊富な地下水量に水温の安定感など、どれをとってもうなぎの飼育に必要な要素が揃っており、脂ののりや身の引き締まり方などバランスの取れた味が特徴のうなぎです。

火山灰の土壌によってはぐくまれた地下水は、ミネラルを豊富に含んだ殺菌力のある弱酸性なため、うなぎはより健康的に育つと言われています。