アレルギーの赤ちゃんが増えているようです。7~10人に1人は食物アレルギーだとか。

アレルギーの主な症状は、皮膚症状(乾燥、湿疹、痒み)、呼吸器症状(咳、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、喘鳴)、目のトラブル(充血、痒み、腫れ)、消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢)です。喘鳴とは、喘息や気管支炎の子供によくみられるヒューヒュー、ゼイゼイという苦しそうな呼吸です。これらの症状が1ヵ月以上続くようなら、アレルギーの可能性があるということを心に留めておいてください。

このような大人でも辛い症状が起こるのですから、当然赤ちゃんは泣いたり掻いたりします。もしかしたら昔は、かなりの割合で風邪、疳の虫、乳児湿疹などで片づけられていたのかもしれません。現在はアレルギーへの理解が深まり、早期に診断されます。離乳食が始まってからの生後7~8ヵ月に診断されることが一番多いのですが、アレルギーと診断された赤ちゃんの1/4近くが離乳食スタート前に診断されています。

食物アレルギーとは

まず、食物アレルギーとは、「ある食物を摂取すると起こるアレルギー反応」です。アレルギー自体には種類があり、「アトピー性皮膚炎」などと診断されたら、食物アレルギーではない場合も考えられます。

ただ赤ちゃんのアレルギーは食物アレルギーが多く、大抵皮膚症状から始まり、呼吸器症状に移っていきます。離乳食前の赤ちゃんが起こす食物アレルギーは、お母さんの摂取したアレルゲン(アレルギーを引き起こす食物)が母乳中に微量に分泌され、それに対するアレルギー反応ではないかと考えられています。原因となる食物は、卵、乳製品、小麦が多くなっています。

最もアレルギーを起こしやすいのが卵白に含まれるオボムコイドです。

乳製品

牛乳、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなどです。

小麦

小麦粉はパンだけでなくパスタにも用いられています。

その他によく挙げられるのは、山芋、そば、ピーナッツ、大豆、魚介類、肉です。魚介類でもイワシ、アジ、サバは駄目だけど白身の魚は大丈夫だったり、アレルゲンの範囲は人それぞれです。

食物アレルギーへの誤解その1

アレルギーは放っておけば治るという考えがあります。成長と共に、消化器官や粘膜が強くなり食べられるようになる場合があるので、これを根拠にしていると思われますが、実際、アレルギーは放っておくとかなりの割合で悪化していきます。大人のアトピー性皮膚炎の人の中には、アレルギーを放置したまま大人になってしまった人が結構います。また、重度のアレルギーはアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。アナフィラキシーショックは複数の症状が急激にあらわれ、意識を失い呼吸困難になるなど生命に関わるものです。

一方、食べればアレルギー症状が起きるのだから、その食物を一切食べさせなければ良いと過剰な食物除去に走る保護者もいます。しかし、どの症状がどのアレルゲンによる食物アレルギーでどの程度のものなのかを素人判断で決めつけてしまうのは危険です。体や脳の成長期に極端な偏食を行うと、栄養不足や成長障害の原因になります。また食べても良い「同じ食品」ばかりを食べ続けて別のアレルギーを招いたりすることもあります。その食物のどの成分が合わないのかによって、完全に除去するのか部分的に除去するのか、そして食べさせる量、食べさせ方などが異なってくるのです。

アレルギーについては、身内の誰それも〇〇アレルギーだったからとか、近所のお子さんはこうだったからとかいう情報が、その赤ちゃんにも当てはまるとは限りません。医師による正しい診断と指導に従ってください。

正しい診断と治療が早ければ早いほど、アレルギーは早く良くなります。

食物アレルギーへの誤解その2

赤ちゃんがアレルギーだった場合、往々にして聞くのが、「掃除が不十分だからだ。」「喫煙していたからだ。」「妊娠中の食生活が悪かったからだ。」挙げ句の果てには、「トイレ掃除をしなかったからだ。」(笑)というママへのお叱りです。

ほとんどでたらめです。ハウスダストやダニ、喫煙はアレルギーだけでなくいろんな面で健康に良くありません。だから部屋をきれいに掃除し禁煙するのは良いことです。

ただし、適当にやっていてもアレルギーのないお子さんもいます。逆に完璧にやっていてもアレルギーのお子さんもいます。遺伝も確実ではありません。子供が食物アレルギーと診断されても、両親ともにアレルギーがない場合が75%を超えます。兄弟でアレルギーのある子とない子がいるのもごく普通のことです。むしろ、その赤ちゃんの持って産まれた体質といった方が近いでしょう。

何週間も掃除していない室内で赤ちゃんの目の前でスパスパ喫煙したり、妊娠中毎日牛乳を3リットル飲んだり、そういう極端な環境なら、何かしら影響が出る可能性もありますが、常識的な範囲であれば影響しません。

離乳食が始まってからのアレルギーについても、「たくさん食べさせ過ぎたから。」「同じ食物を週に3回あげてしまったから。」などと悩むママがいます。関連性はありません。

妊娠中や育児中にママが神経質になったりストレスを溜める方が問題です。赤ちゃんはママの不安やイライラを敏感に感じ取ります。ママやパパの優しく穏やかなぬくもりを感じると赤ちゃんは安心します。そしてママが穏やかな気持ちで育児をするにはパパや周りのサポートが大切です。

アレルギーの調べ方

病院ではまず赤ちゃんとママの生活について問診が行われます。母乳、ミルクの割合、症状、普段の様子など、気になることはメモを残しておき、しっかりと伝えましょう。他の病気の場合でも、数日間の赤ちゃんの食事、排便の回数や状態など質問されます。毎日忙しく、つい記憶が曖昧になることもあるでしょう。簡単な育児日記をつけ、食事、赤ちゃんの体調、その日の過ごし方などを書いておくと、何かと役にたち後には良い思い出になります。

一度の血液検査で、どのアレルゲンにどの程度反応するか(陽性)を調べることができます。ただし、これはあくまで体質を調べるものなので、陽性反応が出てもアレルギーを起こさない人もたくさんいます。

より正確にアレルゲンを突き止めるには、必ず専門家の指導と管理の下、アレルゲンと思われる食物を少量与えて反応を見る検査が行われます。食物負荷試験といいます。これは危険を伴うので必ず医師の指導の下で受けましょう。

食物アレルギーの治し方

20年程前には、食物アレルギーについては原因食物を徹底的に除去する傾向にありました。疑わしいものはとりあえず全て完全除去という指導をする医師がいたほどです。そのため、小麦、乳製品、卵、ほとんどの肉、魚、大豆が全て食べられないなどという子供が出てきました。このやり方は、アレルギーのある子供と家族にとって精神的にも辛いものでした。これを行うと、アレルギー症状を避けることはできるのですが、栄養面でバランスを欠き成長の妨げとなるため結局、アレルギーの克服には時間がかかり治りにくい傾向がありました。

実は食物アレルギーというのは薬を内服して治すものではないのです。処方される薬はアレルギーによって起きた症状を鎮静させるだけのもので、アレルギー自体は、成長に伴い自然に治っていくのを待つことになります。

現在では、しっかりと正しい診断をし、最小限の除去に留め、成長と共に症状が出ないレベルでむしろ摂取させる方向にあります。しかし、これも正しい診断と段階を踏んで行うことですので、「気にせず食べればいいのよ。」などという危険な荒療治ではありません。

食物アレルギーだけであれば半年に一度程度の受診で済みます。アレルギーの専門医がいて、食物負荷試験に対応できる病院を選びましょう。食物アレルギー研究会が食物傾向負荷試験実施施設を紹介しています。(http://www.foodallergy.jp/)小学校入学位までに多くのアレルギーは治っていきます。それを過ぎると治りにくいと言われています。早期の正しい対応は、あなたの大事な赤ちゃんをアレルギーの苦しみから早く解放します。

食物アレルギーの赤ちゃんの離乳食

食物アレルギーと診断された赤ちゃんの離乳食となると、ママも不安なことでしょう。専門医に相談すると、離乳食指導をしてくれます。

離乳食の目的は、「固形物」に慣れ、咀嚼し、栄養摂取する練習です。ですから、焦る必要はありません。かと言って、不安から離乳食の開始を遅らせすぎるのも成長を阻害するので良くありません。他の赤ちゃん同様、5、6ヵ月から少しずつ気長に取り組んでいきましょう。

食材は豆腐もうどんも果汁も全て一度「加熱処理」をして醒ましてからあげます。熱によって食材の分子が変化し、体に異物とみなされにくくなります。昔の人が、小学校に入学して暫くまでは、お刺身、生卵などの生ものをあげなかった理由の一つです。実は子供の消化管の免疫機能が成熟するのは10歳前後で、加熱する理由は、おなかを壊さないよう細菌やウイルスを死滅させると同時に抗原性の高い糖タンパク等も変性するからなのです。

赤ちゃんの間はシンプルな味の手作り離乳食で大丈夫ですが、食物アレルギーのある赤ちゃんの離乳食作りはワンパターンになりがちです。各メーカーが出しているアレルゲン不使用のベビーフードを上手に取り入れるたり参考にするのは賢い選択でしょう。さすがベビーフードメーカーはプロ。アレルゲン不使用のベビーフードも普通のベビーフードと遜色のない味で、何種類も用意されています。

また赤ちゃんが大きくなるに従い、加工食品や調味料を使う機会が増えます。加工食品にはさまざまな材料が含まれているため、気をつける必要があります。パッケージにはアレルゲンが明記されているので、ママたちはしっかり確認しているようです。

食物アレルギーが落ち着くまでは、どうしても外食や購入する食品に制限が出てきます。またママはプラスアルファの心配や注意を払わなくてはなりませんし、痒さや不快感でむずかる子供にはその分手がかかります。使える便利は上手に使いましょう。

食物アレルギーと診断される赤ちゃんや子供が増える傾向にあり、ベビーフードメーカー以外でも、アレルゲン不使用の商品が増えています。小麦粉や乳製品不使用のパンやケーキ、アレルゲン不使用のおやつなど、上手に取り入れて「食の楽しみ」を体験させてあげてください。