母体の健康維持とともに、生まれてくる赤ちゃんの健康な体を作るために欠かせない「葉酸」。しかし、水溶性ビタミンなので熱や水に弱く、食品・食材を調理の過程でその大部分が失われてしまうことも珍しくありません。

どのように工夫すれば、栄養素を失わず効率よく食品から葉酸を摂取することができるのでしょうか? 葉酸が多く含まれる食材も併せてご紹介します。

調理の過程で葉酸が失われる仕組み

葉酸は、熱を加えたり、水で洗ったりすることによってその成分が失われてしまいます。おまけに、摂取してから1~2日で尿として体外へ排出されてしまうので、食事だけで十分な量を摂るのは案外難しいのです

しかし、調理法を工夫することである程度の栄養素を守ることはできます。野菜と果物でサラダを作る、食材を切る時は全体を水で洗ってからにする(切り口を水にさらさない)、汁物にして溶け出した栄養ごといただくなど、いろいろな方法を試してみましょう。果物なら洗ってそのまま食卓に出せるので、食後のデザートとしてはもちろん、おやつとしてもどんどん活用してください。

葉酸を多くふくまれる食品(食材)

葉酸は、主に次のような食材に多く含まれています。

ほうれん草

葉酸がこの世に発見されるきっかけとなった野菜です。アクの部分にシュウ酸があり、あまり多く摂りすぎると結石ができてしまうので、調理の際は必ず下ゆでするようにしましょう。生で食べることを前提に栽培されている「サラダ用ほうれん草」なら、シュウ酸が少ないので安心です。

小松菜

ほうれん草と違い、アクが少ないため下ゆでの必要がありません。クセのない味なので、スムージーの材料としても使いやすいですよ。

納豆

パックを開ければそのまま食べることのできる便利食材。加熱しなくて済むし、納豆巻きなどにアレンジしやすいのも魅力です。つるつるっと食べられるので、食欲がない時にも。

レバー

貧血予防としても必ず名前が挙がる食材。しかし、体内に蓄積されやすい脂溶性のビタミンAを多く含むため、摂りすぎると胎児に奇形が起こる可能性があります。くれぐれも、食べ過ぎには注意しましょう。

いちご

洗ってそのまま食べたり、つぶして牛乳と混ぜたりと、多彩なアレンジが楽しめるおいしい果物。葉酸の含有量は、果物の中でもトップクラスです。手に入りにくい季節は、冷凍物を使っても大丈夫ですよ!

食事だけでは足りない場合は、サプリメントを利用する

世の中にはありとあらゆる栄養素のサプリメントが出回っていますが、その中でも特に妊娠初期の女性に必要とされているのが葉酸です。錠剤やカプセルを水かぬるま湯で飲むだけなので、料理が苦手な女性でも手軽に摂取することができますね。

ただ、飲み忘れていた分を一度にまとめて摂ったり、1日あたりの規定量を超えてしまったりすると、副作用として不眠、食欲不振、全身倦怠感、吐き気などが現れることがあります。必ずパッケージに書かれた使用方法を守りましょう。

また、品質にこだわって選ぶことも大切です。「天然」と表示のあるものは「合成」とされているもののように石油などの有害物質を使っているわけではありませんが、中には農薬をたっぷり使って育てた粗悪な原料を使用しているものもあります。値段の安さに惑わされず「無農薬」と表示のある安全なものを選びましょう

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葉酸が特に必要な時期とは?

葉酸は一生を通じて必要となる栄養素ですが、特に胎児の成長に大きく影響を与える妊娠1ヵ月前~妊娠3ヶ月までは十分に摂らなくてはなりません。妊娠が分かってから慌てて摂っても間に合わないので、結婚と同時に始めると良いですね。

妊娠4ヶ月以降については、サプリメントを摂らなくても普通の食事から摂れる分だけで大丈夫です。葉酸を含む食材を意識して使い、毎日の献立を立てていきましょう。サプリメントを継続する場合は、摂り過ぎにはくれぐれも注意してください。妊娠後期に葉酸を摂り過ぎると、生まれてくる赤ちゃんが喘息になりやすいというデータがあります。(オーストラリアのアデレード大学の研究など)

出典:http://aje.oxfordjournals.org/content/early/2009/10/30/aje.kwp315.full

食事から摂る分については、多少食べ過ぎても過剰摂取になることはないので大丈夫。授乳中も葉酸は必要なので、赤ちゃんが生まれた後も食生活には気を配りましょう。

葉酸の不足による母体と胎児への影響

妊娠初期に葉酸が不足すると、母体と胎児に次のような弊害が生じます。

母体

めまい、立ちくらみ、息切れ、動悸、頭痛、口内炎、胃潰瘍、流産など

胎児

二分脊椎症、無脳症など

胎児への悪影響が特に強く、奇形を持って生まれたり、生後1週間も持たずに死亡してしまったりする可能性が高まります。しかし、母親が妊娠初期に十分な量の葉酸を摂ることによってリスクは大幅に下がるので、極端に偏った食生活でなければそれほど心配しすぎる必要はありません。

最後に

母親と胎児、双方の健康を守るために欠かすことのできない葉酸。不足すると深刻なトラブルにつながる可能性があるので、遅くとも妊娠の1ヶ月前から摂り始めるようにしましょう。ただし、妊娠後期の過剰摂取は生まれてくる赤ちゃんの喘息を引き起こす原因となるので、妊娠4ヶ月を過ぎたらサプリメントを中止し、食事だけで葉酸を摂るようにしたほうが無難です

加熱調理や水に弱いことを考慮し、調理方法を工夫して栄養素の損失を防ぎましょう。