よく「妊娠したらしっかり栄養を摂りましょう」と言われますが、特に葉酸は重要であるとされています。それは一体なぜなのでしょうか? 妊娠初期における葉酸の必要性について、分かりやすくご説明します。

葉酸は、赤ちゃんの体の“基本”を作る栄養素

お母さんが十分に葉酸を摂っていると、お腹の中に赤ちゃんの命が芽生えてぐんぐん体を作っていく時に細胞分裂がうまく進み、五体満足の健康な体で生まれる可能性が高くなります。逆に、葉酸が不足しているといろいろな重い障害や流産を引き起こす可能性が高まり、母子ともに大変なダメージを受けるケースが少なくありません。

葉酸不足によって起こりうる、赤ちゃんの障害

二分脊椎

本来であれば脊椎の中にあるべき脊髄が外に出てしまっていることが原因で起こる神経障害。脊椎の背中側の骨が開いて神経組織が飛び出している状態のものを「顕在性二分脊椎症(開放型)と呼び、骨の開いている部分が皮膚に覆われ、学童期頃までは症状が出ないものを「潜在性二分脊椎症(脂肪腫)と呼びます。

おもな症状は排泄障害、運動麻痺、感覚麻痺などで、合併症として約70%~80%の患者が水頭症(脳脊髄液の循環がうまくいかず、脳内にたまりすぎた状態。脳が圧迫されるので、それによりさまざまな体調不良を引き起こす)を併発します。

無脳症

文字通り、赤ちゃんに当然あるはずの脳が全く見られないか、もしくは大部分が欠損してしまっている状態。頭蓋骨や頭頂部の皮膚の一部が欠損して脳が露出したり、目や口などの形に奇形が見られたりするケースもあります。
そのため、医師が妊婦さんに中絶を勧める唯一の疾患であるとされ、生まれてもほとんどの赤ちゃんが一週間以内に死亡してしまいます。

葉酸をきちんと摂るための食生活とは?

葉酸はもともとほうれん草から発見されたビタミンであり、緑黄色野菜や豆類、レバー、果物などに多く含まれます。ですから、これらの食材を毎日の献立に積極的に取り入れていれば、それほど極端な葉酸不足に陥る心配はないでしょう。

しかし、葉酸は水溶性のビタミンであり、調理の過程で熱を加えたり、水で洗ったりすることによって成分の大部分が失われてしまいます。そのまま食べられるものはサラダにしたり、切る時は洗ってからにしたりして栄養素を守る工夫をしましょう。また、スープやみそ汁などにすれば溶け出した栄養ごといただくことができます。

食事だけでは葉酸が足りない! そんな時はサプリメントを利用する

必要な栄養は食事だけで摂るのが理想ですが、昔と比べて野菜そのものに含まれる栄養素が減っていることもあり、なかなかそういうわけにもいきません。葉酸を多く含む食材が苦手、という人もいますよね。

そんな時は、市販のサプリメントを利用して足りない分を補給しましょう。錠剤やカプセルを水かぬるま湯で飲むだけなので、ゆっくり自炊する時間がとれない時にも便利です。ただ、ひとくちにサプリメントといってもその品質には大きな違いがあるので、できるだけ質の良いものを選ぶようにしましょう。

サプリメントを上手に選ぶコツ

サプリメントには「天然」と「合成」の二種類があります。天然のサプリメントの原料が野菜や酵母などの食品であるのに対し、合成のサプリメントには石油や化学薬品が使われており、どちらが体に悪影響なのかは明白。赤ちゃんの体を作る大切な栄養素なので、サプリメントは「天然」のものを選びましょう。添加物が少ないことも重要なチェックポイントです。

ただ、原料の野菜が農薬まみれでは意味がないので、あまり値段が安すぎるものは要注意なことも。もちろん、中には少しでも良心的な値段で売ろうと頑張ってくれているメーカーもありますが、粗悪な原料でコストを下げ、安さを売りにするところもあるので気をつけてください。

無農薬の野菜を使っているものはそのように表示があるので、できるだけそうした製品を選ぶようにしましょう。

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葉酸が母体に与える影響と、効果的な摂取開始時期

葉酸は、妊娠してから慌てて摂っても間に合いません。遅くとも妊娠を考える一ヶ月前、理想としては独身の頃から継続して摂り続けておくようにしましょう。

葉酸が不足したまま妊娠すると葉酸欠乏症に陥り、貧血や疲労感、めまい、下痢、呼吸困難などさまざまな体調不良を引き起こします。ひどいケースになると、これらの不調が原因でうつ病になることも。せっかく新しい命を授かったのに、これでは楽しいマタニティライフが過ごせないし、お腹の赤ちゃんのことも心配ですよね。

厚生労働省が定めた、妊婦に必要な1日あたりの葉酸の摂取量は400μg。状況に応じてサプリメントも取り入れながら、きちんと摂っていきましょう。ただし、サプリメントを過剰摂取すると不眠、食欲不振、吐き気などの副作用が現れることがあります。一度にたくさん摂るのではなく、決められた量をなるべく時間通りに飲むことが大切です。

最後に

妊娠の1ヶ月前~妊娠3ヶ月までは、特に葉酸が必要な時期。食事のメニューに工夫したり、サプリメントを取り入れたりして、不足しないよう気を配りましょう。ただし、飲み忘れていた分をまとめて飲むなど、過剰摂取につながる摂り方はNGです。