イチョウの木が黄色く色づくと、同時にあのくさ~い匂いがする事がありますね。イチョウの実、銀杏は、美味しい秋の味覚でもありますが、同時に様々なアレルギーが出る場合がある事をご存知でしょうか?
銀杏のアレルギーとは、どんなものなのかご紹介します。
イチョウの実、銀杏
日本ではよく街路樹にもなっていて、秋の季節には黄色い紅葉を楽しめるイチョウの木。そのイチョウの木に、実がなる木とならない木があるのを知っていますか?
イチョウの木には雌と雌があり、実がなるのは雌の木だけなのです。
イチョウの実である銀杏はくさい匂いのする外皮に包まれていますので、イチョウの雌の木は近隣にお住まいの方に嫌がられて伐採されてしまう事もあります。銀杏の外皮がくさいのは、せっかく作った種を動物に食べられてしまわないよう守っているのだそうです。
ですので、街路樹として植えられているイチョウは雄ばかりを選んでいる場合も多く、「せっかく銀杏が食べたかったのに、実が落ちていない!」という方もいるかもしれませんね。公園でしたら、雌のイチョウの木がみつかるかもしれません。
とはいえ、あの臭い実を直接触るのは注意が必要です。
イチョウのアレルギー
接触によるアレルギー
銀杏の外皮には、イチオール(ギンゴール酸、ピロボールなど)という成分が含まれています。このイチオールが皮膚に触れると、アレルギーを起こしてしまう事があります。
アレルギーにはならないまでも、ギンゴール酸やビロボールといったカブレなどの皮膚炎を起こしやすい成分が含まれますので、銀杏の外皮に素手で触るのは避けましょう。
外皮に触れた場合、皮膚の赤みや腫れ、発疹、かゆみといった症状があらわれます。
ひどい場合には、水泡になったり、直接触った部分だけでなく全身に症状が広がってしまう事もありますので注意が必要です。外皮を直接触ってしまった時は、なるべく早くせっけんと流水でよく洗い流し、赤みやカブレが広がっていかないか様子をみて下さい。
外皮を触った手で体の他の部分を触ったり、他の人と手をつないだりすると、その部分にも症状が出てしまう事がありますので、もしも触ってしまった場合には洗い流すまで他の部分を触らないよう気をつけましょう。
特にひどくなる場合、目にも炎症がでて目を開けていられなくなってしまう事もあるようです。
もしも外皮を触ったあと、皮膚症状の出る範囲が広がっていくようでしたら、すぐに病院を受診しましょう。公園では小さなお子さんが、どんぐり等の木の実と同じような感覚で手に持ってしまう事もありますので、小さなお子さんをお持ちの方は気をつけてあげましょう。
経口のアレルギー
銀杏は、外皮への接触だけでなく、食べた時にもアレルギーが出る事があります。
銀杏に含まれる4-O-メチルピリドキシンという成分は、人間体を動かすのに重要なビタミンB6にとても似ている為、本来ならビタミンB6があるべき場所に4-O-メチルピリドキシンが入り込んでしまう事があります。すると体はビタミンB6が足りなくなり、けいれんを起こしてしまうのです。
また、胃腸炎や下痢、嘔吐、発熱、めまいといった症状をおこす事もあります。
普段銀杏を食べてなんともない方でも、食べ過ぎると症状が出る場合がありますので、美味しいからといって普段食べなれている量以上に食べるのは避けてください。
また、食べ慣れた量でも続けて何日も食べ続けるのはオススメできません。
銀杏のアレルギーで「何個食べたら症状がでるか」は個人差が大きく、1粒で症状が出る方もいれば、20粒食べても大丈夫という方もいますが、基本的には多くても一度に10粒から20粒程度にとどめ、食べなれない量を急に食べ過ぎないよう心がけてください。
銀杏のアレルギーは食べてすぐだけではなく、数日後に出る事もあります。
たくさん銀杏を食べたと思ったら、数日間は体に異常がないか気をつけてください。
また、5歳以下の小さいお子さんには少量でも銀杏を食べさせるのは止めましょう。
小さい子供は消化器官が未発達な為、4-O-メチルピリドキシンをうまく解毒する事ができません。銀杏を食べた事によるけいれんなどの重い症状が出た例の70%程度は、5歳未満のお子さんです。お子さんの好きな茶わん蒸しに入っている事がよくありますので、茶わん蒸しをお子さんに食べさせる時は先に銀杏を取り除くようにしてください。
銀杏アレルギーの対処法
銀杏アレルギーになってしまった場合、他のアレルギーと同じですが「食べない」「触らない」というのがとても重要になります。
銀杏を知らない間に食べてしまう事は外食等でもそうはないと思いますが、茶わん蒸し、天ぷら、真薯といった和食に使われる他、中華の炒め物に入っている場合があります。お店で注文する場合には事前に確認することをオススメします。
外皮のアレルギーが心配な方は、実のなる雌のイチョウの木にはなるべく近づかないように。また近くを通る場合は長袖を着て帽子をかぶると良いでしょう。
アレルギー症状のない方でも、銀杏拾いにいく時は木から落ちてくる実が直接皮膚に触れないよう帽子や長袖長ズボンを着用し、ビニール手袋やトング、火バサミなど直接触らずに拾うよう気をつけてください。