不妊症の原因が女性側だけにあるわけではないという考え方が広がってきていることもあり、最近では男性も精子検査を受ける方が増えてきました。実際に、不妊原因の2割が男性側、4割が女性側、1割が原因不明と、男女ともに問題を抱えている割合はほぼ2割となっています。

しかしまだまだ、検査に抵抗があり、受けたがらない男性が多いのが現実です。今は精子検査を受けられる機関も増え、検査自体はシンプルで肉体的な苦痛もない分、女性よりも負担の少ないものだといえます。妊娠は男性と女性が等しく協力して初めて成立するものです。

今回は男性の精子検査について詳しくご紹介しますので、ぜひご夫婦で目を通していただき、これからの妊活の参考にしてみてください。

精子検査とは

 

精子検査は、その名の通り精子の状態を調べるための検査です。1回の射精で得られる精液の量や精子の濃度、精子の運動率、奇形率、ウイルス感染の有無などを調べ、それにより不妊につながる原因はないかどうかを判断します。

男性の精液は毎日精巣内で作られていますので、日々のストレスや生活習慣などの影響を受けて状態が変わりやすいといわれています。そのため1~3ヶ月の間に2回以上行い、その結果を総合的に判断するのが一般的です。

精子検査の方法

禁欲期間を持つ

一般的に3~7日の禁欲期間を持ちますが、病院によって指定される期間は異なる場合がありますので、その病院の規定に従ってください。禁欲期間が短すぎると精液量が少なくなってしまったり、反対に長過ぎると精子運動率が低下したり、精子濃度が高くなることがあります。基本的には4~5日ほどを見ておけばよいでしょう。

精子検査の方法

マスターベーションによって射精した精液の全量を、病院から渡された専用のプラスティック容器に入れます。自宅で採取する方法と、病院で採取する方法があります。自宅で採取する場合は、精液を1時間以内に病院に持っていきます。この時精液の温度管理にも注意が必要なので、病院からのアドバイスを受けそれに従うようにしてください。また、病院に採取室があり、検査当日に来院して精液を採取する施設もあります。いずれも病院によって変わりますので、事前に確認してください。

採取する際の注意点

精液を採取する際、コンドームを使用すると、内側に塗布された薬剤によって精子に影響を与えたり、精子の運動率に変動が起きたりする可能性があります。正しい結果が出なくなってしまいますので、コンドームの使用は避けましょう。
また、ストレスや寝不足などその時の体調に影響されやすいので、なるべく体調が良い日にリラックスした状態で採取するように心がけましょう。

精子検査を受けられる機関

以前は大学病院などの大きな医療機関でしか行えなかった精子検査ですが、今では機材の進歩もあり小規模な病院でも行えるようになってきました。

主に産婦人科や泌尿器科になりますが、産婦人科での精子検査には抵抗がある方もいらっしゃいます。また産婦人科では、男性側の検査は可能でもその後の診察まではできないことがあります。専門性も高いため、精液に問題があった時などに多方面での検査が可能という面では、泌尿器科の方がその後の流れもスムーズだといえます。

検査の結果が良好であればその後の診察も必要ありませんので、まずは奥さんのかかりつけの産婦人科で1度受けてみる、というのもひとつの手段です。

注意が必要なのが、病院がどのような検査方法をとっているかです。

精液の一部だけを使って顕微鏡で調べるだけの方法をとる病院が少なくないそうですが、これでは使われなかった精液の中に生きている精子がいてもわからないまま終わってしまいます。WHOがマニュアルとして定めている、精液の全量を遠心分離機にかけて、試験管の底の細胞成分を残さず顕微鏡で見る方法を採用している病院が望ましいといえます。

精子検査の費用

検査の内容によって保険が適用されるかどうかが異なり、金額の差は大きくなります。精子の数や運動率などの基本的な検査であれば保険適用内となり、自己負担額は1000円以内で受けられます。保険適用外になると全額自己負担で検査の内容によって5000~30000円と幅があります。病院によっても変わりますので、事前に確認するようにしましょう。

精液検査の結果の見方

WHOが定めた精子検査における基準値は以下の通りです。

    ・精液量 1.5ml以上
    ・精子数 3900万以上
    ・精子運動率 40%以上
    ・奇形率 96%未満
    ・精子濃度 1500万/ml以上
    ・総運動精子数(総精子数×運動率) 1560万以上
    ・白血球数 100万/ml未満

上記の値は、生殖可能な最低限の基準値です。精子検査の結果の見方は、あくまでこれをクリアしているかどうかということであって、基準値より高かったから高確率で妊娠できる、低かったから妊娠できないということではありません。

精子検査の結果が悪かったら

これは、男性が一番心配する部分ではないでしょうか。結果が悪いと自分が男性として劣っているように捉えてしまいがちですが、決してそうではありません。妊娠のための準備が必要というだけで、医師の力を借りて治療することや、生活習慣を改めることが準備になるのです。これは男性にも女性にもいえることです。

数回の検査でも数値が悪かった場合は、男性不妊を専門とする泌尿器医の診察、診断を受けます。精液中に精子が全くいない「無精子症」や、精子の動きが悪い「精子無力症」などと診断された場合、それぞれの症状に応じた治療を検討し、妊娠を目指します。

※関連記事:不妊対策で注目されるイースタティックミネラル

最後に

女性にとって不妊治療は薬を飲んだり、痛みをともなう検査があったりと、精神的にも肉体的にも負担がかかるものです。男性が積極的に不妊治療に参加してくれることで、女性の負担は大きく変わってきます。

不妊治療に消極的な夫に精子検査をしてほしい、そんな女性もたくさんいらっしゃいます。「あなたにも原因があるかもしれないんだから」「私はこんなに頑張っているのに」などと言っては、男性も責任を押し付けられたような気分になり、余計に検査を拒んでしまいかねません。精子検査に問題がなければそれで済むのだということを伝えたり、「2人の子どもの為に一緒に頑張ろう」と、勇気が出るように伝えてみましょう。

冒頭でもお伝えしましたが、妊娠は女性だけのものではなく、夫婦がともに協力して成り立つものです。不妊治療にともなう辛さはふたりで負担し合い、妊娠の喜びをふたりで分かち合えたら素晴らしいですね。

追記

最近は郵送でも可能なようですよ。