カップルの結婚年齢が上がってきていることもあり、妊娠できないで悩む女性が年々増えています。しかし本当に、不妊の原因となるのは女性ばかりなのでしょうか。

実は不妊原因の男女比率はほぼ同等で、男性が不妊症の原因になることは、珍しいことではないのです。そのことを多くの人が知らず、女性だけが不妊治療を頑張って、なかなか赤ちゃんを授かれずに傷つくのも女性・・この現状には、危機感をもつ必要がありそうです。

そろそろ見直すべき!不妊症への認識

最近の不妊症事情

日本では一般的に、妊娠可能な年齢の健康な男女が避妊をせず夫婦生活を営み、2年を過ぎても妊娠しないことを不妊症といいます。妊娠可能な期間というのは定義が難しく、近年では結婚年齢が高くなっていることから、1年以上妊娠しない場合を不妊症と診断し、年齢が高いカップルには早めに検査と治療を開始すべきという考えが一般化してきています。

不妊症原因の男女割合

不妊症とされるカップルが100組いるとすると、女性側に不妊原因があるのが40組強、男性側に原因があるのが40組弱という比率になります。残りの20組は、男女両方に原因があるか、原因自体が不明となっています。このことから、男性も女性も不妊原因の比率はほぼ同等ということが分かります。

不妊は女性の問題という長年にわたる固定観念をくつがえす結果に、驚かれる方も多いのではないでしょうか。

まだまだ馴染みが浅い・・「男性不妊」

近年では男性も不妊検査や不妊治療を受ける方が増えてきていることは確かです。それでもまだまだ不妊は女性によるもの、という概念をもつ方は男女ともに多く、不妊におけるさまざまな誤解に苦しむ女性もたくさんいます

女性芸能人の不妊治療などは大きく報道されるのに対して、男性の不妊問題などはメディアで取り上げられることが少ないといった要因も含めて、これは不妊治療における大きな課題のひとつといえます。

不妊原因は男女ほぼ同率という事実を認知さえすれば、多くの男性がもう他人事だとは言っていられないはずなのです。

多岐にわたる女性側の不妊原因

不妊症の原因について女性ばかりが取りざたされるのは、女性の不妊原因が男性よりも多岐にわたることが背景にあるからではないでしょうか。

女性側がもつ不妊の原因は、排卵因子・卵管因子・子宮因子・頸管因子・免疫因子・原因不明と、ざっと挙げるだけでもさまざまな部位にある可能性があります。このうちどの部位にどのような症状があるのかを調べるために、たくさんの検査が必要になります。

治療に関しても女性側の疾患に対するものはかなり研究が進み、多様な治療が行われています。こうしたことから不妊原因のほとんどが女性の生殖能力によるもの、というイメージが生まれるのかもしれません。

知っておくべき男性側の不妊原因

男性の多くは、不妊は自分には無関係と考えています。また、男性不妊を「恥ずかしい」、「男としてのプライドが傷つく」と捉えてしまい、検査から目を背けてしまう傾向も。それでは治療可能な症状も見逃してしまいます。考え方を変えるきっかけとして、まずは男性の不妊原因にはどんなものがあるかを知りましょう。
主な原因は以下の3つに分けられます。

性機能障害

性機能障害は、ストレスなどから勃起が起こらず性行為がうまくいかなくなる勃起障害(ED)と、性行為ができても膣内に射精することが困難となる膣内射精障害があります。

ストレスだけでなく、動脈硬化や糖尿病も性機能障害の原因となる場合があります。

男性に射精障害があっても妊娠できるシリンジ法とは

造精機能障害

軽度~中程度の精液性状低下として、精巣内での精子の形成や運動能を得る過程で異常があると、精液内の精子の数が少なくなる、精子の運動率低下、精子の奇形率が高くなることが挙げられます。

この造精機能障害の原因の約5割を占めるのが、精索静脈瘤という疾患です。多くは思春期頃に発症しますが、分かりやすい自覚症状がないため、不妊治療を受けるようになってから発覚することが多いようです。精索静脈瘤があっても子どもを授かる人がいるため、必ず精子異常を起こすとは限りません。治療は外科手術になり、改善率は75%とされています。

高度の精液性状低下になると、精液中の精子の数が極端に少なくなったり(通常の1/100以下)、精子の運動率が極端に低い(20~30%以下)状態になります。

精子の運動率が低いので、精子を元気にしたい!

無精子症

精液の中に精子が全く見られない現象をいいます。このうち、精巣内で精子は作られているのに精子の通り道(精路)がふさがっている「閉塞性無精子症」の場合、精巣から精子を採取して顕微受精を行ったり、精路を再建するなどの対策がとられ、妊娠の可能性は充分あるといえます。

また、精路がふさがっていないにも関わらず、体外へ出ていく充分な数の精子が作られていない「非閉塞性無精子症」もあり、ほとんどが原因不明とされています。この場合、精子を作るために必要な製剤を注射する治療が有効なことがあります。

パートナーと一緒に、日々の生活から見直そう

妊娠する力には、男女共通で「健康であること」が大きく関係しています。
生活を改善することで男性不妊のリスクの軽減をはかることができます。

~男性不妊のリスクチェックリスト~

  • 疲れやすく、次の日にも疲れが残る
  • 喫煙の習慣がある
  • アルコールの摂取量が多い
  • 外食、コンビニ弁当などをよく食べる
  • ストレスを溜め込んでしまう
  • 肥満体型である
  • 体が冷えやすい、冷え性

以上のリストに多く当てはまるなら、生活の改善を目指しましょう。特に肥満には注意が必要で、BMI値が高いほど精子数が少なくなるという実験結果もあります。

BMI値の計算は<体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)>で簡単に算出できます。適正数値は20~25。ぜひ計算してみてください。

これらは男性に限らず、女性の体にも言えることです。パートナーと強力して、ストレス発散や食生活の見直しなど、楽しみながらやっていきましょう。

年齢についても無関係とはいえません。加齢とともに卵子が老化することはある程度有名ですが、精子も年齢を重ねることで数の低下や運動率の低下が起こることはほとんど知られていません。

作りたい時にいつでも子どもを作れるわけではないのも、男女共通なのです。

妊娠は、男女の協力なくしては成り立たないもので、男性も女性も等しく不妊症のリスクを負っています。そのことを多くの人たちが知ることで、男性不妊はもっと身近なものになります。より多くのカップルが妊娠のチャンスを活かせるよう、男性不妊をオープンにできるような社会を目指したいですね。