健康を意識した生活を送る上で忘れてはいけないのは、何と言っても免疫力の存在ですよね。免疫力は、病原菌やウィルスの侵入を防いでくれるだけではなく、ガンなど害を及ぼす細胞をも排除してくれる自己防衛機能のことであり、私たちが健康を維持するために必要不可欠な機能であると言われています。

しかし、そんな素晴らしい働きをしてくれる免疫力の中でも「NK細胞」と呼ばれるの免疫細胞の働きが、子供が欲しい女性にとって時に大きな壁になると言った、驚きの事実が最近分かってきました。

そこで今日は、私たちの身体にある免疫細胞の一種である「NK細胞」と、不妊の関係について詳しくご紹介したいと思います。

NK細胞とは

NK細胞は、その名もナチュラルキラー(生まれついての殺し屋)と呼ばれるだけあって、強大なパワーで敵を倒すことのできる免疫細胞です。

そもそも、NK細胞とはリンパ腫の一種であり、全リンパの1割から2割を占める免疫細胞として常に私たちの身体をパトロールしながら、外部から侵入してきたウィルスや病原菌、体内で芽生えたガン細胞などを見つけると、たとえ攻撃命令が出なくても直接殺すことができる強力なパワーを持っており、特に体内にできた腫瘍の撃退には抜群の威力を発揮することが分かっています。

NK細胞の平均的な活性度は50%となっており、免疫力が低い時の数値は30%前後、高い時は70%以上あることが分かっており、本来であればNK細胞の数値は高い方が健康に良く、低い人ほどガンを発生しやすいことも臨床試験などで証明されています。

NK細胞と不妊の関係

異物や害をもたらす細胞を排除してくれるNK細胞は、私たちが健康を維持する上で大変頼もしい存在となっています。

しかし、こと不妊や不育症の分野に関しては、NK細胞の働きが強ければ強いほどお腹に芽生えた赤ちゃんを異物と捉え、過剰防衛や攻撃により流産を引き起こす可能性があることが分かっています。

通常、女性が妊娠すると、血液中のNK細胞は子宮内に移動して活性が抑えられた子宮内膜NK細胞となり、胎児を受け入れて妊娠を維持させようとする作用が働きます。

ですが、妊娠中でもNK細胞の活性値が高いままの場合、キラー活性の強い子宮内膜NK細胞が胎児を異物とみなすことで身体から排除しようと働きかけたり、本来であれば攻撃対象にならないはずの胎盤ですら撃退しようとする可能性もあるため、流産に結びつく確率がさらに増えてしまうのです。

このように、妊娠を望む女性にとって、高すぎるNK細胞は不妊や不育症を招くリスクがあり、不妊治療で行われる検査において基準値(18%から40%)を超える数値(42%程度)がある場合には、NK細胞の活性を抑えてあげる必要があります。

主な治療方法

治療法は、病院によってさまざまな違いはありますが、主にステロイドや漢方でNK細胞の働きを抑えたり、ピシバニールや夫リンパ球移植と言った方法もあります。

一般的に多いと言われる治療法としては、免疫力を抑える作用や自己抗体を下げる作用のあるステロイドを使った療法となりますが、その際多量のステロイドを用いて治療に充てるため、副作用に対する考慮は必要となってきます。

ステロイドの作用に似た働きのある漢方の柴苓湯(さいれいとう) の処方により、免疫バランスを整える治療法もありますが、こちらはステロイドに比べて副作用は少ないものの、稀に呼吸困難や酷い咳、発熱などの風邪症状が起きる場合もあります。

また、NK細胞が多いために受精卵が着床しにくいと言ったケースには、免疫賦活補助剤であるピシバニールと呼ばれる注射を皮下注射する治療が行われますが、こちらはNK細胞の活性を正常化させるだけでなく、妊娠前後の同種免疫応答能力を高めて免疫学的妊娠維持機構を正常に機能させる治療でもあります。
気になる副作用に関しては、ピシバニールには重篤な副作用の報告はありませんが注射後に発熱や注射箇所に赤みや腫れが出る場合があり、治療期間としては初回治療後1カ月後に再検査した後、結果次第では再治療に突入していく形となっています。

そして最後は、夫リンパ球移植と呼ばれる免疫療法についてですが、こちらは夫の血液を採取した後、リンパ球を分離して妻に移植すると言った治療法となりなす。

副作用としては、ごく稀ですが移植片対宿主病という死亡率の高い症状が現れることがあり、治療期間は初回治療から2週間おきに計4回行われることになっています。
こちらは保険適用外となるため全て実費の治療となりますが、治療後は次の妊娠において流産しない確率が8割以上になると言われています。

まとめ

今日は、NK細胞と不妊の関係についてご紹介しましたが、実際の所これらの因果関係は今なお研究中であり、完全に解明されてはいないのが現状です。

とはいえ、妊婦のストレスが流産を引き起こす可能性を高くさせるように、NK細胞も母体の精神的ストレスが多いと活性化の数値が高くなることも確認されており、ストレスとの関連性が指摘されています。

日頃から無理をせず、肉体的にも精神的にもストレスをかけないような生活を心がけ、妊娠できるような環境作りを整えて行くことが大切ですが、それでもなかなか妊娠しない場合や流産を繰り返してしまう場合には、NK細胞の数値検査を一度受けてみることをおすすめします。