妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまう流産。実は、全妊娠の約15%が流産に至ってしまうという統計が出ており、想像より多くの女性が流産を経験しています。

しかし、それほど多くの女性がつらい経験していても、流産についてあまり詳しく知られていないという現実があります。流産に対する思い込みやネガティブなイメージが、漠然とした不安につながってしまうと、次の妊娠にも影響してしまう可能性があります。

今回はそんな流産についての不安を少しでも払拭できますよう、原因や対策、心の整え方などをまとめました

流産の種類

流産とは、妊娠21週6日までに妊娠の継続が不可能になることをいいます。流産にはいくつか種類があります。複雑な部分もありますので、まずはどんな種類があるのか、名称だけでも目を通してみてください。

切迫流産

妊娠21週6日までに、出血や痛み、お腹の張りなどの症状があり流産になりかかっている、妊娠が危険な状態をいいます。早期対応すれば妊娠を継続できることもあり、入院や自宅での安静が必要になります。

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稽留流産

胎児が子宮の中で死んでしまっている状態です。痛みや出血などの症状が起きず自覚症状がないため、婦人科で初めて確認されます。通常子宮内の赤ちゃんや組織を取り除く手術をしますが、まれに自然排出を期待することがあります。その場合、夜間の出血など緊急事態が起こりえます。

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化学流産

受精はしたものの着床できなかった状態です。妊娠検査薬では陽性反応が出ても、生理がきてしまいます。

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進行流産

流産が生じ進行しており、出血が始まり、子宮内の組織など内容物が外に出てきている状態です。亜腹部の強い痛み、子宮頸部の開大が起きます。治療は、以下の「完全流産」か「不全流産」によって分かれます。

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完全流産

進行流産の状態から、子宮内の胎児や胎盤などの組織が完全に摘出された状態です。痛みや出血も止まり、治療は主に経過観察となります。

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不全流産

進行流産の状態から、まだ子宮内に組織などが残存している状態です。下腹部の強い痛み、出血が続きます。子宮内用除去術が行われるか、残存物が少ないと子宮収縮剤や抗生物質の投与を受けます。

繰り返す流産「習慣流産」「不育症」

流産が2回続くことを反復流産、3回続いた場合は習慣流産といいます。そして流産、死産や新生児死亡などを繰り返すことを不育症といいます。流産を経験した人にとっては、繰り返すのでは?というところが一番不安になる部分でしょう。また、流産を繰り返すことで自分を責めてしまいがちですが、必ずしも母体や妊娠中の過ごし方に原因があるわけではありません。

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流産の原因は?7割が胎児の染色体異常

流産のほとんどが妊娠12週未満に起こる初期流産です。そしてその初期流産の70%が、胎児の染色体異常によるもの。これは、自然淘汰と考え、悲観しすぎないことが大切です。卵子や精子、受精卵の段階で染色体異常が発生し、多くの場合は着床前後に淘汰され自然消滅します。妊娠と判断されること自体がごくわずかな割合で、その後自然流産というかたちで淘汰されるのです。

染色体異常を持つ胎児を流産することは、母体がちゃんと機能している証拠でもあります。

2回、3回と続いても異常とは限らない

胎児の染色体異常による初期流産は決して珍しいことではなく、その後の妊娠についても心配することはありません。流産歴のない女性と、1回流産経験のある女性のその後の流産率に差がないことも証明されています

また流産が2回続いた女性が、何の治療も受けず3回目に妊娠・出産する確率は75%と高く、3回続いた方でも、治療を受けずに妊娠・出産する確率は55%もあるのです。もしも治療が必要になったとしても、適切な治療を受けることで出産率はもっと高くなります。

母体側がもつ流産の原因

上記のように流産を繰り返すことをひどく悲観する必要はありませんが、やはり2回以上流産が続く場合には、不安を拭うという意味でも検査を受けた方が良いでしょう。胎児の染色体異常だけでなく、母体側がもつ原因としていくつか例をあげてみます。

 

ホルモンに関する原因

排卵後、卵巣から分泌される黄体ホルモンが十分に分泌されず、胎盤や胎児が育たなくなる「黄体機能不全」や、子宮内膜が黄体ホルモンに反応できず胎盤が育たない「子宮内膜機能不全」などがあります。いずれも冷えや血行の悪さが要因になることが多いので、対策が必要です。

子宮の異常に関する原因

「子宮の奇形」や「子宮筋腫」、「子宮内膜症」などがあげられます。これらも子宮内膜機能不全が引き起こしている可能性があり、妊娠前から改善することで流産を防ぐことができます。

夫婦に染色体異常がある

習慣流産の夫婦の約7%に、染色体異常が見つかるそうです。この染色体異常は、残念ながら治療することができないものです。しかし、夫婦のどちらかに染色体異常がみつかっても、健康な赤ちゃんを授かる可能性は半分以下にはならないのです。希望を捨てる必要はありません。

感染症による流産

クラジミアやヘルペス、トキソプラズマなどの感染が流産の原因になる場合があります。トキソプラズマは猫などのペットから感染することが多く、クラジミアやヘルペスも感染する人が増えていますので、不安のある方は妊娠前に検査をしておきましょう。

悲観せずに、きちんと向き合う

妊娠の喜びもつかの間、流産と分かったときの悲しみや落胆は計り知れないものです。そして、流産への曖昧なイメージは不安を強めてしまいます。

スウェーデンの研究チームが発表した論文によると、「TLC(Tender Loving Care)」という治療が習慣流産に目覚ましい効果をもたらしたそうです。テンダー・ラビング・ケア。「友好と愛情を持って、患者に接する」という意味合いの治療法で、これを受けた習慣流産の患者の86%が妊娠・出産することができたそうです。不安によるストレスは少なからず流産に影響しているということが分かります。

流産はきちんと対処することで、ほとんどの場合対策を見つけることができます。どうか悲しみを長引かせず、検査を受ける、体の調子を整えるなど、自分の持つ妊娠力と向き合い、夫婦で協力して次の妊娠を目指していきましょう。