いつかは絶対に子どもを授かりたいと願う夫婦、不妊治療をしている人や過去に流産を経験された女性は「着床前診断」について調べたことがあるかもしれません。雑誌やテレビで取り上げられることも多くなりました。

今回はそんな気になる「着床前診断」についてその特徴や問題点などをまとめてみました。

着床前診断ってどんなもの?

「着床前診断」は別名「受精卵診断」とも呼ばれる検査で、受精卵が子宮に着床する前にその受精卵が持つ遺伝子や染色体に異常が無いか検査をすることを言います。

世界で最初に行った着床前診断は1990年。イギリスの「ネイチャー誌」で発表され世界中が驚きました。着床前診断では性別判定が出来ることから、当時は伴性遺伝(男女の性によって現れ方が違う遺伝)疾患を避ける目的で行われ始めました。現在は遺伝疾患を回避する目的で実施されるため、性別判明を重視するのではなく遺伝子自体の異常や変異を調べることが多くなっています。1990年以降、世界中で1万人以上の人が着床前診断を受け、赤ちゃんが誕生したと考えられています。

着床前診断で期待できることとは?

現在日本で着床前診断をする夫婦の目的として、「受精卵に染色体異常や遺伝子異常が無いかどうかの確認」が一番にあげられます。本来受精卵が赤ちゃんとして誕生できる確率は25%から30%ほど。受精卵の多くが染色体異常があることで着床しなかったり、着床し妊娠が成立しても流産や死産になってしまいます。染色体に異常があれば約97%が流産や死産になるため、妊娠成立前にそれを確認出来ることが大きな利点です。

着床前診断は受精卵を検査した後、体外受精によって子宮に戻されます。着床前診断をすることによって妊娠率があがり、流産率を減らすことに繋がります。着床前診断で異常が認められなければ、その後胎児として元気に成長することが期待できます。不妊治療で少しでも成果をあげたい夫婦や、何度も流産を繰り返している女性にとって非常に注目されている検査なのです。

着床前診断の問題点って?

ここまでを読むと「妊娠前に異常があるか調べられるのならやりたい」と思われるかもしれませんが、実際に問題点はたくさんあります。日本産科婦人科学会は、方針としてこの着床前診断を行うのは遺伝性の重い疾患を持つ患者に限定しています。妊娠前に遺伝子を調べることは命の選別につながるのではないかという考えがあるためです。倫理的な観点から世界中で議論されている着床前診断。

日本ではこの学会に同意をしていない医院も存在します。これらの医院は不妊治療において、また流産予防においてもこの医療技術は必要であると主張しているのです。それを受け、日本産科婦人科学会より精度の高くなった新型着床前診断の臨床研究をしていくと発表しました。

現在日本で着床前診断をうけるのであれば、両親のどちらかが遺伝性のある重篤な病気を患っていることが条件。この条件に当てはまらないのであれば、学会に承認されていない病院で検査を受ける方法しかありません。承認外の病院は全国でも数少ないのが現状ですが、夫婦で強い希望があれば調べてみる価値はあるでしょう。

男女の産み分けは可能?

技術の面から見ると、着床前診断で男女を判別することが出来るため産み分けは可能です。しかし日本国内において男女の産み分けは禁止されているため、確実に産み分けをしたいのならば海外で受ける方法があります。男女の産み分けについては国によって考え方はさまざま。アメリカなどは可能ですが、渡航には滞在費を含めて数百万かかると考えておく必要があります。

最近では海外の検査機関へ受精卵を送ってくれ、海外の着床前診断を受けることが出来る医療代行会社の取り組みも注目を浴びています。お金と手間をかけるなら、男女産み分けの方法が無いわけではありません。

もう少し身近な方法もあります。
赤ちゃんの産み分けを成功させた人が実践した方法とは

夫婦によっては希望の光となるかも?

着床前診断と出生前診断の大きな違いは、検査を受ける時期。出生前診断は妊娠が成立し胎児になってからを受けるため、産むか産まないかを判断をするという精神的負担は大きなものです。また中絶によって体にも大きな負担がかかります。着床前に診断することで妊娠出産できる確率が上がり、長年子どもを授かれなかった夫婦にとって希望の光となることが期待されています。子どもを欲しいという気持ちは、周りが何と言おうとやはり欲しいもの。実際に国内で着床前診断を望む夫婦は少なくないのです。

金銭面など、現実的に考えてみる

今着床前診断を受けようと思っても、残念ですが実施している病院は少なく、高額な費用がかかります。夫婦のどちらかに遺伝的・染色体異常があり日本産科婦人科学会に検査の承認されれば15万ほどで着床前診断は受けられます。学会から認められていない病院でなら夫婦に疾患等が無くても受けられますが、数十~100万程かかるケースもあるようです。

検査は体外受精の必要があり、体外受精をする為には何度も通院をしなければなりません。誘発回数や治療方針、病院によっても金額はバラバラですが、着床前診断の費用以外にも60~80万かかると考えたほうが良いでしょう。苦労しお金をかけても100%成功する保証はありません。

最後に

現実的に考えると厳しい面もありますが、これから先さらに状況は変わってくる可能性もあります。今後の流れに期待をしつつ、夫婦でよく話し合って検討してもいいかもしれませんね!