我が子の言動や行動が何となく他の子供と違っていたとき、「もしかして発達障害なのでは?」と感じたことのある人はきっと多いと思います。

しかし、子供の発達障害はそのわかりにくい特性から、周囲が気づいてあげられるまでに多くの時間を要したり、気づかれないまま大人になってしまうことで、子供の一生を長期に亘り生きづらいものにさせてしまうケースも決して少なくはありません。

そこで今日は、子供の発達障害をできるだけ早く気付くためにも、発達障害の種類や主な特徴、よく見られる行動などを詳しくご紹介いたします。

発達障害とは

発達障害とは、主に学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害(PDD)、知的障害に区別されています。

このように、一言で発達障害といってもその種類は多く、それぞれ異なる症状や似た症状も見られますが、中には障害が合併しているケースもあります。

文科省が2012年に実施した調査結果では、学校教育における指導の中で何らかの困難が伴う子供の割合は全体の6.5%に見られ、その内の4.5%が学習障害(LD)、3.1%が注意欠陥多動性障害(ADHD)、1.1%が広汎性発達障害(PDD)であることがわかっています。

学習障害(LD)

主な特徴

学習障害(LD)とは、全体的な知的発達に遅れはないものの、学習する上で必要な「読む」「書く」「聞く」「話す」「計算する」「推測する」と言った能力の内、どれか特定のものだけが困難であるという障害です。
もちろん、誰しも得意不得意なものはありますが、LDは得意のものと不得意のものに大変大きな差が出るのが特徴です。
「読む」「書く」「計算する」がとりわけ難しいとされ、目から入ってくる情報を処理したり図形の問題などは困難を極めることもわかっています。
特に、小学校2年から4年頃には、読み書きや計算ができないと言った困難から成績不振が顕著に表れてくるため、学習に対して意欲を失うことが多く見られます。

男女比では男性の方が多いこともわかっており、その原因は脳の中枢神経系機能の異常や、目や耳などの身体問題や生活環境も要因であると言われています。
知的な発達に問題がないため、周囲には「努力不足」「頑張ればできる」と見過ごされることも多く、障害があると気付くのは文字や計算を習う小学校以降になることも少なくはありません。

LDの子供に見られる行動

LDの子供の特徴としては、文字や文章の読み書きがうまくできない傾向が多く見られます。
よって、本を読ませても内容を把握したりまとめることが苦手であったり、文字を書くことや書き写すことができない(文字が反転して見える)と言った症状も見られます。
また、言葉の発音がうまくできないことで言葉が詰まったり、単語の連発による会話をする傾向が見られます。
数字に関しては、数の概念や数系列の規則性が理解できないため、簡単な計算や文章問題が解けないことが多く、日時や方向に関しても、今日と明日の区別がつかなかったり、右や左が良く分からない場合があります。

LDの子供への接し方

①書くことが苦手な場合

なぞり書きから練習させて、枠から飛び出さないように書くことを覚えさせましょう。
慣れてきたら、書き順や漢字のはらいやはねなどを意識させて書くように教えましょう。

②話すことが苦手な場合

まずは、その子の興味のある話題を振ってあげましょう。
子供が喜んで話してきたら、その話題を遮ることなく相づちを打つことで「聞いてるよ」とサインを送ってあげましょう。

③読むことが苦手な場合

いきなり一冊の本を読むように指示するのではなく、1ページ目の1行ずつ指でなぞりながら読ませてください。
まずは短いお話から始めて、徐々に長文を読ませていくことも大切です。

④計算が苦手な場合

まずは、簡単な計算から1問ずつゆっくりと解かせていきましょう。
文章問題などは、実際にリンゴやみかんなどを使って籠に入れてみるなど、問題の道筋を再現してみることも効果的です。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

主な特徴

注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、知的な遅れは無いものの、感情や行動を自分でコントロールすることが難しいため、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの要素が顕著に表れてくる障害です。

この3つの要素が4歳までに現れ、7歳を過ぎても症状が改善されない場合はADHDと診断されますが、小さい子供はこれらの要素を持っていることが多いため、周囲には「わんぱくな子」「落ち着きが無い子」「躾がなっていない子」と誤解されてしまうケースも多々あります。

男女比では、男性の方が女性の数倍も多かった昔に比べて、現在は比が縮まりつつあるようです。

男性の有病率は青年期に低くなることが多いのに対し、女性の有病率は年を重ねても変化しない場合が多いこともわかっています。

ADHDの子供の特徴としては、幼少期は落ち着きが無く、協調性に欠けているため周りのお友達とうまく遊ぶことができません。

小学生に入ると、じっとしていられないため授業中は手足を動かし続けたり、宿題の忘れものが増えたり、身の回りの生理整頓ができないといった兆候が見られます。

また、ちょっとしたことでカッとなったり先を考えないで行動するため、クラスメイトとトラブルを起こすこともありますが、こういった症状が学校など団体の中でだけ起きて、家庭内では落ち着く場合はADHDではない可能性もあるため、その見極めは重要です。

ADHDの原因としては、脳の神経生物学的・実行機能・前頭前野の障害などが挙げられますが、はっきりとした要因はいまだわかってはいないのが現状です。
一昔前は、親の育て方に問題があると言われたときもありましたが、現在の見解ではADHDに躾の問題は関与されていないとされています。

ADHDの子供に見られる行動

ADHDの子供は、落ち着きがなくじっとしていられないと言った傾向が多く見られます。
集中力が続かないため、物事が長続きしないのも特徴であり、規則や注意が守れないため、忘れ物や不注意による怪我も起こしやすいです。
学校などの集団生活においては、人の話を聞かずにしゃべり続けたり順番を守れなかったり、先を考えず突発的な言動や行動をしてしまうため、クラスメイトから孤立してしまうこともあります。

ADHDの子供への接し方

①好きなことの才能を伸ばしてあげる

ADHDの子供は、好きなことに関しては遺憾なく集中力を発揮することができると言われています。
その子の得意なものを見つけて、才能を伸ばしてあげると良いでしょう。

②褒めることを心がける

ADHDの子供の行動に対して、つい叱ってしまう気持ちもわかりますが、良いことをしたときは思いっきり褒めてあげることも大切です。
ただし、悪いことをしたときはその度にしっかりと言い聞かせることも必要です。

③マナーを守り、計画や順序に従った行動ができるようにサポートする

まずは、子供の興味のあることをさせてあげて、その中のルールを守らせるようにします。
子供の行きたい場所へ連れていく場合は、計画を立てて順序に沿った行動ができるようにサポートします。

④自覚させる

衝動性を自覚させるために、どういった言動がお友達を傷つけたり、どういった行動が危険を及ぼすなど教えてあげることは大切です。
また、予測不可能なことが起きる場合も多いため、子供のいる場所は安全な環境にすることが必要です。

⑤子供の不安を少なくさせる

その日のスケジュールなどの変更は最小限とし、不意打ちに子供が驚くようなことはなるたけ避けましょう。

広汎性発達障害(PDD)自閉症・アスペルガー症候群

主な特徴

①自閉症

広汎性発達障害(PDD)の中でも、自閉症はおよそ100人に1人の割合で存在すると言われており、兆候としては1歳を過ぎた頃からサインが出始めます。
他の子供に関心が無かったり、人と目を合わせない、指さしをしないなど、社会性やコミュニケーションの分野において顕著に症状が現れます。
言葉を話し始めた時期は他の子と比べて遅くはないものの、自分の言いたいことがうまく言えなかったり、会話が繋がりにくいと言った特徴がある一方、自分の好きなことや興味のあることに関しては毎日何時間でも熱中できるなど、「こだわり」の分野ではとことん集中することができます。
ですが、こと苦手な分野や初めてすることに対しては拒否反応を示すことも多く、馴染むのに人一倍時間を要することがあります。
一家族に何人か存在することも見られるため、遺伝的要素も要因の1つであることがわかっています。

②アスペルガー症候群

PDDの中でも、知能障害を伴わない自閉症のことをアスペルガー症候群と言います。
こちらは高機能自閉症とも呼ばれており、特徴としては相手の気持ちを理解したり場の空気を読むことが困難であったり、悪気なく発した言葉で人を傷つけてしまうことが多いため、人とのコミュニケーションに支障をきたす場合が多く見られます。
また、特定分野に関しては異様に執着する傾向があり、こだわりを強く持つことがわかっています。
アスペルガー症候群の原因としては遺伝的関与の大きい脳機能障害と言われていますが、自閉症同様に要因については明確な結論に至ってはいません。
PDDの男女比は、一昔前は圧倒的に男性が多かったものの、最近では女性のPDDも増えている傾向にあります。

自閉症の子供に見られる行動

自閉症の子供は他人と視線を合わせたり、言葉によるコミュニケーションをしない傾向があります。
幼児期特有の、何かを見つけた時の指さしや、ごっこ遊び、真似遊びなどはせずに、同じ動作を繰り返すなどの一人遊びにふけることが多いようです。
反面、特定の物事には強いこだわりを持つことから、興味のあることに関しては時間に関係なく追求し続ける傾向があります。

アスペルガーの子供に見られる行動

アスペルガーの子供は、思ったことを何でも口にする傾向があり、友達と遊ぶより一人遊びに没頭する子が多いと言われています。
相手の気持ちが理解できないため、相手が傷つくようなことを平気で言ってしまったり、逆に嫌みや皮肉を言われても気づかないと言った点も見られます。
また、自分の関心のある話だけをする傾向があり、自閉症の子供同様に特定の物事に関しては強いこだわりを持ってとことん追求していきます。
潔癖症の面もあり、中には自宅のトイレでしか用を足せない子供もいます。

PDDの子供への接し方

①曖昧な表現を避ける

PDDの子供は相手の気持ちを察することが難しいため、「その辺を片づけておいて」などと言った曖昧な表現は止めましょう。
「机の上にある本を持ってきて」「濡れた雑巾で床を拭いて」など具体的に伝えることが大切です。

②ルールや規則は明確に

PDDの子供に、言わなくてもわかると言った暗黙のルールは通用しません。
学校や家庭での規則やルールは、できるだけ明確にして伝えていきましょう。

④怒鳴ったり声を張り上げない

PDDの子供は急に大きな声を出されると驚いて委縮してしまい、内容を理解するのに多くの時間を要することになります。
伝えたいことをハッキリとした言葉で話すことは必要ですが、穏やかな口調でわかりやすく説明するように心がけましょう。

⑤良いことをしたら褒める

これはPDDの子供に限ったことではありませんが、良いことをしたときは思いっきり褒めてあげましょう。
特にアスペルガー症候群の子供は記憶力が長けているため、褒められてうれしかったことなどは記憶としてずっと覚えています。
良いことをした際に褒められると意識していくことは、成長する上でも大事なプロセスとなります。

まとめ

子供の発達障害は、まずは大人が正しい知識を正しく理解することが大変重要です。

発達障害と聞くと「治らない病気」だと悲観してしまいがちですが、病気が手術や投薬などの治療によって良くなっていくのと同様、発達障害の子供は成長や発達をしていくことで、症状も改善されていくと言われています。

まずは、子供が大人になるまでにどのような発達をしていくか、その間必要な発達の段階を理解して、大人がサポートしていくことが大切です。