子育てが順風満帆で、何にもまったく何にも悩みがないというママに会ったことはありますか?

そんなママは世界中どこを探してもいないでしょう。慣れない育児・思い通りにいかない子育てだけではなく、自分自身の身体不調など、みんな何かしら悩みを抱え、でも一生懸命に目の前の子供と向き合おうとしているのではないでしょうか。でもこの子育てのつらさっていったい何なのでしょう

「時間がない!」 ママたちの悲鳴

子育てに悩むママたちの悩みに共通しているのが、「子供が生まれると自分の時間がなくなること」です。

でも、時間がないのは忙しく働くキャリアウーマンやビジネスマンも同じじゃないの?と考える人もいるかもしれません。望んで子供を産んだのに、生んだとたんに「あれが大変これが大変」って文句ばっかり言うのは理解できないと考えるパパも多くいるでしょう。

でも「この時間がない」と感じることの本質は同じなのでしょうか?

ママたちは何をつらいと感じているのか、その本質が本当に理解されているのでしょうか?

ママたちの「時間がない」は忙しい人と同じ?それとも違う?

単に「時間がない」というのだったら、ママもパパも一緒。パパだって一歩外に出たら、仕事に追われる日々。それに昼夜を問わず働いている人は世の中にたくさんいます。遠距離トラックの運転手さん、世界をまたにかけるビジネスマン、夜勤の医師、締め切りに追われる編集者などなど、枚挙にいとまがありません。

でもママたちの「時間がない」というのは、それは1時間しか眠れなかったとか、10分でランチをかきこんだという「何かと何かを区切る時間」という概念とはまったく違うものなのです。

子育てとは、ある意味、自分のやろうとしていたことやしたかったことを常に子どもに邪魔され続けることなのです。朝から晩までインターセプトされてばっかりなのです。

自分のしたかったこととは、そんな大層なことではなく、極めて日常的なことです。

 

「歯磨きを3分間して口をきちんとゆすぎ、口元をタオルでふく」

「好きな番組の予約をする」

「トイレに座って用を済ませ、手を洗ってタオルで拭いてからで出る」

「お風呂にはいって湯船につかり、髪と体を洗う」

 

……そんなささやかなことです。

でも、自分がやりたいことを途中で他者によって遮られる、そして自分がしていたことを中断して他のことをやらざるを得ない……この繰り返しは、なんてストレスがたまることでしょう!

同じ睡眠時間が3時間といっても、自分で3時間後に目覚ましをセットして起きる睡眠3時間と、「ああ、今日もまた夜泣きかな」と思いつつ眠りにつき、夜中に泣き声で突然眠りを妨げられた結果の睡眠3時間では意味がまったく違うのです。

同じ休憩1時間でも、お店にいってメニューを広げ、食べたいものを選んで運んでもらい、それを食べる1時間と、「ちゃんと食べないと風邪ひいちゃう」「こんなに汚しちゃって!」などと心配しながら子供にまず食べさせ、やっと終わってさあ自分が食べようを思うと「あれとって」「本読んで」「おんも行きたい」とあれこれ言われ、それをなだめすかしながらとる食事とはまったく違うのです。

なぜ遮られることがこんなにもイラつくの?

自分がおなかを痛めて産んだ子とはいえ、しょせんは別人格、おまけに相手は生まれたばかりで回りの気持ちを推し量るとか、様子を見るなんてことはできない年齢なのですから、自分の行動をすべて遮断されてしまうのは、これはある意味仕方のないことなのでしょう。

冷静に考えれば仕方のないことだとわかります。

でも、自分の行動を遮断されることがつらいのでしょうか?なぜこんなにイライラさせられ、ストレスがたまるのでしょうか?

それは、ささいなことでも自分がやりたいと感じたことに対する達成感を得られないからではないでしょうか。どんな小さなことでも、何かをやり遂げる喜びを実感できないからではないでしょうか。

人は「○○がしたい」と思った時、その欲求を満たすため、自分では自覚していなくても脳が体に命令を与えて 具体的な行動を起こします。

私たちの全ての行動は、「○○したい」という欲求がベースになっているのです。それがたとえ「ものをひろう」というささいなことであってもです。

つらさの鍵はドーパミンにあった!

どんなにささいなことであっても、その目的を達成し「○○したい」という欲求が満たされた時、人は達成感を得ることができます。そして達成感を得た時、脳内では「ドーパミン」というホルモンが分泌されます。これは別名「快楽物質」とか「やる気ホルモン」とも呼ばれています。

このドーパミンが分泌されることで、私たちは幸福感や満足を得、さらなるやる気が湧き上がってくるのです。そして「やる気」が起こると、次の「○○したい」という目標を達成するために、行動し次の目標を達成をした満足感を得ることができます。

するとさらにドーパミンの分泌が促進されるのです。このようなサイクルは「やる気サイクル」とか「ドーパミンサイクル」と呼ばれています。

でも毎日毎日自分のしたいことが子供によって遮断されつづけ、やって当然しかも成果がわかりにくい家事に埋もれてしまったら、ママたちの脳みそにドーパミンなんて分泌されっこないと思いませんか?だからママたちは、ドーパミン不足、達成感不足に陥っているのではないでしょうか。

ママが「1人なりたい」と思う、その裏には

ママたちがよく口にする「1人になる時間があったらなぁ」「自由な時間が少しでも欲しい」というのは子供と離れてリフレッシュしたいという気持ちももちろんあるでしょう。ただ、この気持ちを紐解いていくと、美容院にしろ、おひとりさまランチにしろ、窓ふきにしろ、とにかく自分のしたいことを、「誰にも遮断されずに自分のペースで最後までやり遂げたい」、そして「達成感を得たい」という欲求の現れではなのでしょうか。

つまり、「子どもがイヤ! もう解放されたい!」から1人になりたいのではなく、達成感を1人でちゃんと味わいたいから「1人になりたい」のです。

そして、一番大事なのは、ママたちが子育ての何を大変だと感じているのかを一番身近なパパの理解してほしいということ

中には何をつらいのか、訳が分からなくなっているママも多いでしょう。パパたちも一度想像してみてください。

出勤途中のバスで空席があったから座ろうとしたら、いきなり足をかけられてこけ、駅でトイレに駆け込んだらすんでのところで清掃中の看板、会社についてパソコンの電源を入れようと思ったらその手をぐいっと引っ張られ……。子育てとはつまり、毎日毎日そんなことばかりなのです。

ママが疲れ切って大変そうであれば、せめてその心情に寄り添ってあげてください。もしママが「大変なの」といったら「そうだね、大変だね。いつもありがとう」とパパが応えるだけで、また明日もがんばろうという気持ちになるのですから。そして、「リモコンはどこ?」「つまようじとって」などとママにあれこれ言いつけたり、「なんでコレやりっぱなしなわけ?」なんて言わないでほしいのです。

ママは日常的に子供に行動を遮断され続けているのですから、せめてパパはママの行動を遮断しない配慮のできる心遣いして下さいね。

ママたちは「時間がないから大変」=「子育てがいや」と言ってるわけのではないのです。パパたちの仕事も大変ですが、週末の何分の1かを「ママ1人に時間」にするだけで、きっとママのつらい気持ちはぐっと減るのではないでしょうか。そのようにしてお互いパパとママとして成長していけたらステキですね。

赤ちゃんとドーパミンの密接な関係

やる気や達成感とドーパミンとは密接な関係がありますが、実はドーパミンと赤ちゃんにも、とても深い関係があるのです。

新生児の赤ちゃんって甘酸っぱいような独特のにおいがありますよね。実はこのにおいをかぐとママたちの脳内にドーパミンが分泌されるというのです。出産の疲れもとれないうちから、1日中赤ちゃんのお世話をして、ママの疲れは心身ともにいっぱいいっぱいです。けれども、赤ちゃんの匂いでママの脳内にドーパミンが分泌されることで、ママの癒やしになり、「やる気」も出てくるのです。

赤ちゃんの匂いによるドーパミンの分泌は、子供がいない女性にはない現象です。この原因は、妊娠と出産によるホルモンバランスの変化と考えられています。

最後に

子育てはつらいことがたくさん、でもこんな風に自然の力が背中を押してくれることもあるのです。「つらいと感じる」=「ママ失格」ではありません。悩むには正当な理由があるのですから、悩んで当然くらいの気持ちでいると自分自身がぐっと楽になりますよ。

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