誰しもが必ず一度は考えるのではないでしょうか。持ち家が得か、賃貸が賢明か。まず、それぞれの良い点、悪い点を挙げてみました。

持ち家

良い点

・資産価値がある。資産運用できる

当然ですが持ち家は売ることができます。そして売らなくても、自分は別の場所に住み、持ち家を貸すことで賃貸収入を得ることもできます。

日本人は土地や家屋など不動産を高く評価する

一城の主とでもいうのでしょうか。景気が悪くなったり非正規雇用が増え、価値観が大きく変わった今でも、持ち家神話は未だ滅びてはいないようです。

歳をとっても最低限居場所が確保できる安心感

やはり住居代というのは生活費の中で大きな部分を占めます。食費や光熱費の方が家賃より高いというのはそうないパターンだと思います。土地があって、夜露をしのげる建物があれば、あとは贅沢せずに細々やっていけば、こういう風に語る人は年配者には多いです。

悪い点

固定資産税やメンテナンスなどに大きな費用がかかる

何にでも税金がかかる日本ですが、固定資産税は不動産を持つ人の泣き所です。先祖代々の不動産を相続しても税金が払えずに手放す人の話も時々耳にします。また老朽化しても修繕費用が出せず家屋を放棄して別の場所で暮らす人も少なくない様で、社会問題化しています。

一生、ローンが家計を圧迫する場合が多い。

平均的な収入に比して、持ち家の価格は超がつくほど高額です。地方、田舎ならばともかく、都心やその周辺で持ち家を購入しようと思えば、普通のサラリーマンはほぼ全員がローンを組みます。

しかも月々の支払が10万なんて珍しくもなく、40年ローンなんていうのもざらです。しかし考えてみれば持ち家以外でこんな買い物をするなんて考えられないですよね。家以外で毎月10万、40年ローンなんて絶対組みたくないですか。このローンがなければ、どれだけ生活が楽になるでしょう。まさに一世一代の買い物なのです。

家屋は30年もしないうちに資産価値がなくなる。

土地を抜いた家屋だけの価値は30年未満で完全に減価償却されてしまいます。居住することはもちろんできます。きちんと建てられた家なら80年、100年、十分使用に耐えるものです。しかし、売買しようとなるとローンを払い終わった後のマイホームは無価値なのです。

転居できない。

買ってしまったが最後、多額のローンも抱え、ちょっとやそっとのことで転居は難しいでしょう。ご近所とうまくいかない、子供の学校の問題、その他思いがけない問題に悩まされても、転職や転勤が起きても、そう簡単には手放せません。

地震のリスク。

地震で家が倒壊した場合、あなたの家屋はなくなりますがローンは残ります。

賃貸

良い点

いつでも転居できる。

余りに短期で解約するなどでなく、一定の通知期間をちゃんと守れば、いつでも転居が可能です。

ローンの負担がない。持ち家は頭金も高額であり、貯蓄が激減する

若くして持ち家を考える場合、大抵貯金は初期費用で無くなります。そしてそこからは延々何十年もの間、ローンに追われる生活が続きます。

若いうちの苦労は買ってでもせよと言いますが、こと住宅ローンに関しては大抵30年、40年と払っていくので苦労は若くなくなっても続くのです。住宅ローンに子供の教育費が重なると、生活はとことん節約モードになるかもしれません。

その時の収入相応、家族構成相応の部屋に住める。

収入が低く家族が少ないまたは子供が小さい時はそれ相応の、収入も子供も成長してきたらより良い物件に、その時期その時期に応じた生活を営むことができます。

固定資産税、修繕費用がかからない。

とても大きな出費です。住宅ローンに加えて、もう涙目です。

悪い点

家賃は支払っ放し。何も残らない。

死ぬまで家賃を払わなくてはなりません。

定年後も家賃を払い続けなければいけない。

定年後お給料が入らなくなっても、年金が思ったより全然少なくても、家賃を払わなくてはなりません。

歳をとると新しい賃貸契約を締結しにくくなり、老朽化したマンションに住み続けたくない。

老人の一人暮らしは特に大家さんから嫌がられるそうです。火の不始末の心配、孤独死の心配などでしょうか。弱者に冷たい世の中だなあと悲しくなりますが、大家さんの身になれば当然の懸念かもしません。

また定年後、年金収入が少なかったり子供が保証人になれない場合も、賃貸が難しくなります。そうなるとそれまで住んでいた賃貸物件に住み続ける他ないのですが、建物が老朽化していくのも問題です。

必ず検討すべきこと

上記の良い点、悪い点を踏まえて、導き出せるのは、「持ち家がいいか賃貸かいいか」はその人のライフスタイル、収入、そしてその物件によるということです。そんなの当たり前じゃないかという声が聞こえてきそうですが、意外にこの点をしっかり分析し計画をたてずに家(またはマンション)の購入を考えている人が多いように思います。

最低限確保できそうな収入額、転職、転居の可能性、子供を持つのか、子供の教育費の概算、親の介護、ずっと同じ場所に住み続けるのか、老後は夫婦だけで暮らすのか、これらを検討し、もしもこうなったらというリスクヘッジをしっかり行っておけば、人生が詰んでしまうことを避けられるでしょう。

お金の問題

まず、賃貸に住むという選択をした場合、言い換えると不動産という形で将来にお金を残すという選択肢を取らなかったということになります。ということは、将来、特に老後のためにその分のお金をしっかり残さなければならないのです。収入や家族構成に応じた賃貸物件に住むということは、裏を返せば分不相応に広い物件や高級マンションは避けなければならないということです。

この分不相応な買い物を避けるという心得は家を買う場合にも当てはまります。不動産屋がセールスのため勧めてくるローンシミュレーションは、あなたの収入や生活ではぎりぎりのものです。彼らはあくまであなたになるべく高く売ることで利益を得るのですから当然です。モデルハウスや美しい部屋のイメージにうっとりして、仕事や家族、何か一つでも予定が狂えばやっていけなくなるようなタイトな支払い予定を組むのはやめましょう。

次に、購入した持ち家を持ち続けるのか、一定の時期が来たら売却するのかという問題があります。土地の値段はその時の市況によって上がったり下がったりしますが、家屋の価格は古くなればなるほど下がり、最終的に30年を過ぎると限りなく資産価値はなくなります。そして売却時には、仲介手数料、登記費用、不動産譲渡益税などがかかります。大抵の場合、数年するとローンの残債額が物件の現在価値を下回る時期がやってきます。

ところが割高な物件を買うと、いつまでも多額のローンが尾を引き物件の現在価値が追いつきません。そして修繕費用は増えていきます。まさに失敗例だと言えるでしょう。

本来、お金がなければそのような高額な家は買えないはずなのですが、自己資金つまり貯金がないにも関わらず、自分の身の丈に合わない住宅を購入してしまう人がたくさんいます。新築なら物件価格の4%、中古なら物件価格の7%の諸経費が加わります。

このうちローンは物件価格の80%ぐらいまででないと後が大変なのにも関わらずです。

お金がないなら今は分相応の物件を賃貸で済むこと。そしてお金を貯め運用し、資金ができてから、物件価格が十分安く魅力的な物件を手に入れれば良いのです。それまでの時間で、不動産の価値、適正価格、何らかの理由で持ち家に住まなくなった時に慌てて売るだけでなく賃貸するなどの資産運用法についても十分学ぶことができるでしょう。

時期の問題

持ち家の場合、まず頭金を用意する必要があります。ローン返済額は無理のない価格の物件をある程度若いうちに手に入れるとすれば、月々の支払額は家賃と変わらないでしょう。

しかし、管理費、修繕積立金があるため、一年の累計額は賃貸の場合に比べ高額になります。状況が変わるのはローンが返済されてからで、持ち家の負担は管理費、修繕積立金となるため、賃貸と逆転することになります。

ただ、日本の住宅ローンは大抵65~70歳位まで続きます。なので現役時代はもちろん、退職してからもアルバイトやパート勤務でローン支払いに追われるなどということのないように、高額過ぎない物件の購入、早めの返済プランをたてる必要があります。

退職数年後には持ち家の方が圧倒的に出費を抑えることができ、以後は長生きするほど得になります。日本人の平均寿命は80歳を超えています。

寿命を迎えるまで元気にその家に住み続けられるかという問題がありますが、仮に平均寿命まで住んだとすれば持ち家の方が圧倒的に安いという結果になります。一定の年収と貯蓄がある世帯であっても、毎月の賃貸家賃を老後も支払っていくと現役時代の生活水準を保っていたのでは75~80歳辺りで貯蓄が底をつく可能性が高いのです。

ただし、子供のいる家族世帯の場合、ここに教育費という大きな負担が加わります。

子供の教育費が高くなるまでの時期にしっかりと貯蓄しておくこと、そして繰り返しますが身の丈にあった持ち家または賃貸を選ぶこと、この二つを怠ると、子供が成人し巣立ったころには貯蓄がないまま定年を迎え、下流老人一直線という最悪のケースになりかねません。退職金をローン完済にあてる人もいるようですが、それでは賃貸と同じで、老後資金が目減りし早期に底をつく恐れがあります。

こう考えると、持ち家派は若いうち、そして現役時代にはかなり厳しいやり繰りとなりますが、老後の安心を得られます。

賃貸派だって、その時その時の家族構成や収入に応じた物件を選ぶのだから、老後もそうすれば良いと思うかもしれませんが、この国の現実は老人にそう優しいとはいえません。

大家は基本的に老人だけの世帯に部屋を貸したがりません。そういう理由もあり、昭和の現役世代は、小さくても勤務先から遠くてもマイホームをこぞって欲しがったとも言えます。

また快適な老人向けマンションなどは相当富裕でないと手が出ない金額ですし、そういうマンションに住むために老後の蓄えを大幅に減らしてしまうことになりかねません。そういうマンションに暮らし続けるためには、管理費、更新料など諸経費もかかりますし、生活費は別途必要になるわけです。

そうなると賃貸派は、子供が巣立った時点で今までよりも安い賃貸物件に移り、そのままそこで居住し続ける選択が現実的になりますが、平均的に全ての子供が卒業し独立した頃には親もあと数年で定年というところまで来ているでしょう。

55歳で転居するとして、その年齢では貸し渋られる物件もかなりあると思われます。良い物件を見つけ賃貸できたとして、そこから平均寿命まで生きるとすれば約30年間住み続けなければなりません。

まとめ

結論としては持ち家も賃貸もそれぞれ問題点があります。大切なのは、どちらを選ぶかではなく、選んだ場合のリスクを最小限に抑える努力なのかもしれません。

残念ですけれど、不動産屋さん、住宅メーカーなどに相談しても、商品をオススメされるだけで解は得られません。自分たちが希望する条件でベターは何なのかを調べるしかないんですよね。。。