今この記事を読んでいらっしゃる方は、初めての一人暮らしをお考えでしょうか。それとも今の部屋に満足できず新しい物件を探していますか。

昔に比べると初期費用が安くなったり、保証人不要物件、ペット可物件など、随分借りやすくなった感がありますが、それでも引っ越しにはお金も労力もかかりますし、一度引っ越すと気に入らなくてもしばらくは住まなくてはなりません。毎月の家賃も考えてみれば相当な金額になります。

失敗したくない買い物(借り物?)の代表、賃貸マンションの探し方について整理してみましょう。

賃貸物件の条件

新しい部屋を考える時、まず自分の求める条件と譲歩できる幅を明確にしましょう。

家賃

まず家賃です。毎月家賃を支払うことを考えると、今のお給料でギリギリ払えるなんていう値段は論外です。給与カット、転職する可能性、夫婦や同棲なら相手が働けなくなる可能性もあります。敷金、礼金または保証金の初期費用や引っ越し業者に頼む料金、足りない家電や家具の買い足しなど、引っ越しにかかる初期費用も意外に高額ですので、貯金もある程度減ってしまうでしょう。

ただし、値段というものはうまくつけられていて、安い家賃には必ず理由があります。特に女性の一人暮らしや子供のいる世帯では、治安の良いエリアを選びたいものです。安全をお金で買うというのは、海外だけの話ではありません。

間取り

そこで譲歩できる(またはできない)条件を他に挙げると、部屋の広さ、築年数、ターミナル駅や最寄り駅からの距離など交通の便などがあります。

初めての一人暮らしでは嬉しさの余り、「どこでもいい!」と言わんばかりに1Rを選ぶ人も多いようですが、学生時代ならともかく社会人になり数年も経つと、1Rや1Kは厳しいという声が多数です。

広めの部屋で、なおかつあなたが寝に帰るだけ、またはパリジャンたちのように物の少ないシンプルな生活を営むタイプなら良いのですが、大抵の日本人は過剰な物に囲まれて生きています。

もしあなたがこれを機に断捨離し、ミニマムな持ち物で暮らして行こうというのなら問題はありません。

また逆に「1DKより2DK、1LDKより...とにかく部屋数が多いのが得」というような考えもどうかと思います。自分がどの時間帯にどれぐらいの時間を家のどの部屋でどうやって過ごすのか、これをシミュレーションしてみると、リビングは必要なのか、ソファは要るのか、ベッドルームは狭くていいから独立している方がいいのかなどいろいろなことが見えてきます。

使わない部屋に高い家賃を払うのも、無駄なスペースを物置化するのも愚の骨頂です。(そして次の引っ越しでさらに身重になるわけです。)

また日本のマンションの中には収納スペース(押し入れやクローゼット)がたくさんある部屋とそうでない部屋があります。収納スペースが多く、それをうまくいかせるのならば、部屋が1つ余分にあるのと同じぐらいの利用価値があります。

賃貸物件を探すときは収納スペースの広さ、数、位置、状態を必ず確認しましょう。日当たりの悪い部屋の押し入れなどはカビが生えやすいので注意が必要です。日照、風通りなどは必ず、現地を昼間に訪れて確認してください。

古さ

次に古さです。マンションの古さには2通りの着目点があります。一つ目は文字通りの築年数です。お得なお値段の物件は大抵築20年以上だったりします。ただし、前の使用者の使い方、管理者の手入れ、住民のモラルなどによって同じ築年数でも見た目は全く異なりますので、多少古くても他の条件が良ければ一度現地へ見に行くべきでょう。

築年数自体は古くてもリノベーションされていて、とてもきれいになっている場合もあります。リノベーション済みと書かれていてもどの部分をリノベーショをンしたかは千差万別ですので、確認することをお勧めします。

日本人の「築浅信仰」、「新築信仰」は有名です。このため、建てる側にも、欧米のように何十年、何百年も人が住み続け手入れをする建築物を建てようという意識も希薄です。ですが売買する不動産物件なら資産価値を大きく左右する築年数も、賃貸となると余り意味がありません。RCマンションの課税耐用年数は47年。使用耐用年数はその倍ぐらいあると考えて構いません。

むしろ、不景気になってから建てられた「早い、安い」をモットーにしたマンションより、マンション台頭期やバブル期以前の建築物の方が質が良いというのが、業界での通説です。実際、外側と内側を目で見て、リノベーションやリフォームの有無を確認するのであれば、ここは譲れる条件ではないでしょうか。(和式トイレだったり、水回りに故障があるような物件は論外です。)

交通の便

これはだまされやすいポイントです。特にその土地出身者でない場合土地勘がなく、難しいポイントです。

まず一人暮らしなのか、家族で暮らすのか、性別は、公共交通機関をメインにするのか、自転車、バイク、車を頻繁に使うのか、職場や学校へのアクセスと帰宅時間、休日の過ごし方、この辺りが重要になります。

極端な話、専業主婦の妻と子供の活動圏が家の近くのスーパーマーケット、病院、公園であった場合、夫が自転車かバイクで駅まで行くのなら、最寄り駅から徒歩20分でもまず問題ありません。新社会人のあなたの勤務先が渋谷だとして、渋谷区や山手線周りに固執するとマンション探しは困難を極めますよね。

安い物件を探せたと思うと、とても古い、マンションとは呼びにくい物件であったり、周囲にラブホテルや風俗街、さびれて夜は危険な感じのするエリアがあったり。もちろんあなたが気にならない、またはその風情を楽しめるならそれでも構いません。が、都会の暮らしに十分疲れ、自分の住まいぐらいは落ち着いて安心な環境をと思う人も多いでしょう。

ちょっと私もネット上で探してみたところ、目を神奈川方面に向けて東急東横線や京浜急行電鉄沿線で探すと、急行が止まる駅、渋谷まで15分程度で出られる、なんていうマンションが結構簡単に見つかりました。そうです。大事なのは距離ではなく所要時間なのです。

この辺については、友人や知人がいればベストですが、インターネットの掲示板や質問コーナー、そして不動産屋さんに訊いてみるといいでしょう。

ネットで検索

さて、実際賃貸マンションを探すとなると、通常はインターネットで検索するか、不動産屋に紹介してもらうかになります。

借り主と貸主または管理会社、借り主と不動産屋とのトラブルが大きく取り上げられることもあり、私たちの心のどこかに、「マンションを賃貸する時は騙されないようにしなくては」という警戒心があるのも事実です。

賃貸不動産の営業は成約数がそのまま成績=給与に反映される業界ですので、中には自分の勧める物件について把握していなかったり、とにかく押して押して成約させてしまおうという人もいます。

不幸にもそういう営業に当たった時に流されないためにも、物件探しと引っ越しには十分な準備と期間の余裕を持ちたいものです。

自分が何を求めているか、譲歩できる範囲はどこまでか、これを明確にするのは賃貸マンションに限らず賢い買い物の最低条件です。最終的には不動産屋さんの店舗に足を運ぶのですが、

その前にネットで検索し、大体の相場感をつかんでおくことをお勧めします。

昔の不動産屋の中には、とてつもなくお得な賃貸物件が表に張り出してあって、喜び勇んでドアを開けるとその物件は成約済みというパターンが多かったのですが、現在はどこの大手不動産業者もインターネットでの部屋探しに力を入れており、広告はほぼ信用できます。

有名どころでは、全国の賃貸情報を1日4回も更新しているスーモ(http://suumo.jp/chintai/)、物件数No.1を謳うホームズ(http://www.homes.co.jp/chintai/)、昔からある気がするネットでCHINTAI(http://www.chintai.net/)があります。また一人暮らしをしている若者の間で好評なのがマイナビ賃貸(http://chintai.mynavi.jp/)です。
筆者の印象としては、現物のマンションはこういうサイトで見る写真の2割引きといったところでしょうか。

いざ、街の不動産屋さんへ

いえ、もちろん最初からこちらに直行されても構いません。ここで、人生で転居回数10回を優に超える筆者と友人たちの経験を。

街の小さな無名の不動産屋さん、覗くとかなり年配の社長?店長?が新聞を読みながら煙草を吸っているようなお店。古い下町、学生街、田舎では、こういうところにお世話になるのも、いいかもしれません。何しろ地元ネットワークが強いので、とてもいい家主さんのいるいい物件を紹介して貰える可能性があります。ただし、お節介は付き物です。

都会でも昔からの商いを大切にされているそういうお店はあるのでしょうが、いかんせん、大手グループに押され気味で、紹介できる物件に限りがあったり同じ物件なら大手グループの方が安かったりします。

保証人がいなかったり母子家庭だったり、正社員でなかったりナイトワークだったり、このご時世、皆人生いろいろな訳ですが、そういう時にもいわゆるゼロ・ゼロ物件(敷金・礼金なし)や保証会社のお膳立てなど力になってくれ、何かトラブルがあった時にも親身にとまでは言いませんが、法律と契約に則って最低限の正義は速やかに通るのも、大手の安心感ではあります。

いずれにせよ、家を建てる時も売買する時も賃貸する時も、比較と相見積もりは当たり前。信頼できて、職務に誠実な営業のいる不動産屋を選びましょう。

確認事項

不動産屋の営業パーソンと候補のマンションを内覧に行きます。ここで確認しておきたいことは、共有部の管理状態、隣人や近所の様子、日照、風通し、水回り、カビなど問題がないか、近所の環境(階下や隣近所に飲食店があれば騒音、臭い、害虫が発生しやすいなどの傾向があります。)、どこか壊れているところはないか。

残念ながら口頭では言った言わないになることもあるので、日時を入れた写真を撮っておきましょう。(スマホのカメラの進化に感謝です。)

私は初めての一人暮らしで急ぐあまり、窓ガラスのひびとドアの不具合に気づかず後で請求されたとても苦い思い出があります。

ただし、これら全てを5分や10分の内覧時に確認するのは困難です。なので、もし近場への転居であれば、前もって候補の物件を自分で見に行ったり、内覧も家族や友人と一緒に行くことをお勧めします。

敷金・礼金、保証金

関東方面では一般に敷金と呼び、関西方面では保証金と呼ぶことが多いのですが、こちらは退去時に返ってくるお金です。家賃の滞納や、退去時に必要となった修理費用を担保するため預けているお金になります。

礼金は、戦後の住居不足で大家さんに対して支払ったお金から発生しており、戻ってきません。これが大家でなく仲介する不動産屋に対するものになったのが仲介手数料です。

現在ではこの礼金がない賃貸マンションも増えています。また敷金もないいわゆるゼロ・ゼロ物件もよく見られるようになりました。伝統的な敷金・礼金に引っ越し業者の費用、家電や家具などの購入を合わせると、初期費用が50万、100万、それ以上になることも珍しくありません。

ですから、ゼロ・ゼロ物件のようなマンションは借りて側としては大変有り難いことなのですが、入会金・会費、退去時のクリーニングや鍵交換費用、短期間の中途解約の違約金など、思わぬ費用がかかることも多く、毎月の家賃が相場よりも高かったり、居住者のトラブルが多かったりするようで、総合的に見ると必ずしも良いとはいえないようです。

うまい話には

最後に、最近話題になっている事故物件も含め、うますぎる話には理由があるとお伝えしたいと思います。

この条件でこれだけ安いのはどう考えてもおかしい、時にそんなマンションを紹介されることがあります。

私も一度、お金は出し渋るが古かったり汚いマンションは嫌で、なかなか成約しなかった時に、「よし、これでどうだ!」と街の不動産屋の社長が出してきた物件が余りにも良すぎたことがあります。

会社員が一番乗り降りする沿線の大きなターミナル駅から2駅、駅から6分程度、新築と見まがうほどの築浅、間取りは確か2DKか2LDK、相場では10万円以上のマンションなのに、確か6万円以下。さすがにおかしいと見合わせたことがあります。

事件、事故、または自殺などで人が死亡した部屋というのが事故物件です。

当然、その部屋に住みたがる人はいません。

が、持ち主としてはそれでは困るのです。なので、住んで貰わなければいけません。事故が起こった直後に住む相手に事故について説明する義務は課されていますが、たとえ1日でも誰かが借りればその次以降の借り主には説明しなくても良いそうです。

まとめ

その他、居住者のトラブル、大家に問題あり、新しくて安くて広いと喜んで入居したら隣のビルが密接して建てられており、全く日の光が入らなかったなど、やはり相場を逸脱して安いもの、うますぎる話には理由があることが多いようです。

それを踏まえて納得済みで賃貸するなら良いですが、遠慮したり面倒くさがらず納得できるまで質問し、自分の条件と範囲をしっかり守っていいお部屋を探してくださいね。