昔から、赤ちゃんがお母さんのおなかにいる期間は10月10日といいます。
実際には人によって多少の差もあり、30数週~40週ぐらいです。いずれにしろ、そんなにも長い期間を経て、わが子に対面する喜びは言葉で表せないくらい大きく、感動で涙が止まらないものです。
それと同時に、底知れぬ不安も押し寄せてきます。
今にも壊れそうな小さな命を抱きながら、今この瞬間からわが子を育てていかなければならないという責任の重さにおののいてしまう自分がいるのです。
母親になってまずやることは、おっぱいを赤ちゃんに飲ませることです。
言うなれば、出産後すぐにはじめる赤ちゃんとの共同作業です。
ママも赤ちゃんも初心者ですから、はじめからうまくいくはずもありません。
思うように母乳が出なかったり、赤ちゃんの方でも上手く吸うことができなかったり、理由は様々です。
授乳がうまくいかないことが、出産したばかりでナイーブになっているママのストレスになってしまうこともあります。
また、生まれたばかりの赤ちゃんの胃は筋肉がまだ弱いので、飲んだ母乳やミルクを吐きやすいです。
赤ちゃんが突然、母乳やミルクを吐いてしまった場合、ママは心配になります。
ここでは、赤ちゃんが吐いたときに、考えられる原因とその予防、吐いたときの注意点について紹介します。
どうして、赤ちゃんは母乳やミルクを吐いてしまうのか?
赤ちゃんが吐いてしまうと、心配になるママの気持ちはとてもよくわかりますが、実はそれほど心配しすぎる必要はありません。
先ほども書きましたが、赤ちゃんの胃はまだ未熟なのでどうしても吐きやすくなってしまうのはある程度仕方がないのです。
赤ちゃんの胃は、大人の胃と違って「とっくり」のような形をしています。
「とっくり」形の胃は、入口が閉まっていない上に、真っ直ぐな形をしているので中に入ってくるものが少し増えただけでも、すぐに溢れてしまいます。
さらに、胃の周りの筋肉がまだ発達していないことも吐いてしまう原因のひとつです。
大人の場合には、多少の食べ過ぎや飲みすぎも、筋肉が発達しているので胃が収縮してくれるのですが、赤ちゃんの場合にはそうはいきません。
母乳やミルクを吐いてしまうことを、吐き戻しといったりしますが、これも、大体生後3カ月くらいで落ち着いてきます。
生後3カ月になると胃の形ができ上がってきて、だんだんと腹筋もついてくるからです。
生後3カ月以前、特に生後1カ月の赤ちゃんは胃がびっくりしやすく吐きやすいといわれますので、授乳の際はガーゼ等をすぐに使えるように用意しておきましょう。
母乳やミルクの飲みすぎも赤ちゃんが吐いてしまう原因となります。
生まれたばかりの赤ちゃんが一度に飲むミルクの量は20cc~100cc程度ですが、これを超えて飲みすぎてしまうと胃に負担がかかって吐いてしまうことがあります。
赤ちゃんはまだ、飲む量を自分で調整することができません。与えられた量をすべて飲みきってしまうのです。
この場合の対応は、大人が適切な量を計測して与えるようにすることです。
赤ちゃんにとって適切なミルクの量は、男児、女児、月齢によっても変わってきますので、推奨量を参考にしましょう。
また、母乳の場合には赤ちゃんがどれくらい飲んでいるのかわかりにくいですが、時間を目安に計測するといいです。最近では、ミルクや母乳を与えた時間や量を記入して管理できるような育児ノートが、出産した病院でもらえることもあります。
記入する作業がママの負担にならなければ、育児ノートの活用は管理もしやすく、後々も重宝するのでおすすめです。
よく、「授乳の後はゲップをさせましょう」と病院等でいわれると思いますが、ゲップが出ていないことも吐き戻しの原因かもしれません。
赤ちゃんは、ミルクや母乳と一緒に空気を吸い込んでいます。
その吸い込んでしまった空気が気管から逆流するときに、胃の中のミルクや母乳も一緒に吐き出されることがあります。
ゲップをさせることで、吐き戻しを防ぎ、ミルクや母乳をしっかり胃の中に入れて正常に消化吸収をさせることにもなりますので、できるだけさせてあげましょう。
その方法は赤ちゃんを縦抱きにして、背中を軽くトントンとたたきます。
この時、大人の力は、赤ちゃんにとって予想以上に強く感じることがありますので、力を入れてたたきすぎないように注意してください。
また、ゲップをした時に赤ちゃんの口から母乳やミルクが出てしまうことがありますので、ガーゼを赤ちゃんの顔の下に敷いておくといいです。
吐いてしまったときの対処法
赤ちゃんが吐いてしまっても、それほど心配はありませんが、気を付けてみておきたいのは、嘔吐物と吐き方です。
例えば、嘔吐物が乳白色や無色透明の場合には母乳やミルクを吐き戻したものなので、特に問題はありません。
しかし、嘔吐物が黄色や、黄緑色をしている場合には病気が考えられますので、すぐに病院の小児科で受診しましょう。
吐き方については、少量であったり、たくさん吐いてしまった時でも赤ちゃんが機嫌よくしていれば大丈夫です。
噴水上に勢いよく吐き出した場合には、注意しましょう。
「幽門狭窄症」かもしれません。
これは、生後3週間~3カ月前後に発症することが多く、胃の出口の筋肉が厚くなって出口が狭くなってしまう病気です。
放っておくと、栄養不足や脱水症状を引き起こすので危険です。
小児科を受診しましょう。
小児科を受診する際には、嘔吐に症状がおさまるまで安静にしてから受診するといいです。
また、吐いたものが喉に詰まらないように、赤ちゃんの口や顔をガーゼできれいに拭いておきましょう。
赤ちゃんの顔を横向きにしておくと、のどに詰まるのを防ぐことができます。
赤ちゃんがぐずって、泣くとさらに焦ってしまいがちですが無理に動かすと赤ちゃんも大変です。
ママはゆっくり落ち着いて行動しましょう。
赤ちゃんはまだ体が小さいので、吐いたときには脱水症状を起こしやすいのです。
一口でもいいので水分補給をしてあげるよう心がけてください。